<   2018年 05月 ( 7 )   > この月の画像一覧
受贈書誌より感銘句(平成30年5月)                  草深昌子抄出

「俳句饗宴」(主宰 鈴木八洲彦)

   老うもよき茅花ながしとなりにけり     鈴木八洲彦

   ひしめける蕾の中の初桜          加藤ひさ子


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「運河」(主宰 茨木和生)

   野に遊ばむ命生き切りたる妻と     茨木和生

   雉鳴けり妻の棺を持ちをれば       〃

   夕空に燃えうつりたる野焼の火     谷口智行



「秋草」(主宰 山口昭男)

   約束の人立つていゐる春の雨     山口昭男

   薄氷と水のさかひの滲みかな     石崎圭太



「ハンザキ」(主宰 橋本石火)

   鯖缶に鯖の絵春の日が西に     橋本石火

   桜鯛旨し屋島は遙かなり      宮田真子



『菅美緒』シリーズ自句自解Ⅱベスト100

   近州の飯の旨さよ鮴もあり      菅美緒

   ひと雨の過ぎたる処暑の比叡山   

   若鮎を火にのせ近江ことばかな

   鮒釣るや餌何やかや雪に置き

   八月や草色のもの草を跳び



「獅林」(主宰 的場秀恭)

   蟻いつも急きて遊びの貌見せず     的場秀恭

   堰落ちて組み直しけり花筏       あめ・みちを


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『鳥の手紙』白石喜久子 第二句集

   祈る手のやがて木の実を拾ひけり     白石喜久子

   巣箱かけ鳥の手紙を待つ子かな

   出雲まで続いてゐたる花の雲

   箱庭の働く人に雨上がる

   丈草の舟出のあたり草の花



「雲取」(主宰 鈴木太郎)

   神代の白雲となる大桜     鈴木太郎

   眼間を禰宜の袴と初蝶と    下條杜志子



『球殻』花谷清句集 第二句集

   春の雪想うは思い出せぬこと     花谷清

   しやぼん玉ひとつふたつは風を蹴り

   ビー玉の影は黄みどり鳥雲に

   百合一輪フエンスに茎と隔たれて

   花屑の轢かれ鵯色蘇る



「八千草」(主宰 山元志津香)

   昭和遠く平成速し据り鯛     山元志津香

   ペンキ塗る足場が取れて十二月  横川博行



「詩あきんど」(主宰 二上貴夫)

   裸木をつかむ老者の手もあらむ     二上貴夫

   陽炎に乗る子のいない三輪車      中尾美琳



「はるもにあ」(主宰 満田春日)

   光りつつ色失へる春の海      満田春日

   竹馬の上で降り方考へる      山崎杏


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「松の花」(主宰 松尾隆信)

   妻戻り来たるよ豆を撒くとせむ     松尾隆信

   鬼は外いつよりか声張らざりし     佐藤公子



『時空の座』拾遺・エッセー集    西池冬扇


  私の頭の中にはたくさんの人が時空を超えて住んでいる。

  それらの人々に時どき出てきて貰って架空の座談会を行う。

  称して時空の座という。

  時空の座がある限り人間は肉体を離れて存在することができる、などと不遜なことを言えば嘘っぱちだ。でも、そういって人に勧めたいくらい時空の座は楽しい。

                   ―「あとがき」より抜粋

  里山のあのあたりから祭り笛     西池冬扇

  行く秋の触れて冷たきモラエス像    〃

  モラエス像撫ぜる双子の遍路笠     〃


  

『冠羽』 仲原山帰来句集

  こでまりや雨くる多摩の坂がかり      仲原山帰来

  文京は槐の花の散るところ

  木枯や夕空へ飛ぶ葉のあまた

  日脚伸ぶ酒匂河口の波がしら

  塗り深き大山独楽を土産とす



「里」(代表 島田牙城)

  罐集めゆくがたつきの黄沙かな     島田牙城

  髪留は髪にしめりて卒業期       堀下翔




『雨奇』 前田攝子句集

  酒の粕かかへて雨の本堅田      前田攝子

  濡らしてはならぬ謄本春みぞれ

  山桜朝のひかりを温めをり

  梨咲いて介護ベッドの運ばれ来

  ほととぎす天王山の雨呼びぬ



  

  

  


by masakokusa | 2018-05-31 19:59 | 受贈書誌より | Comments(0)
大峯あきら追悼・「晨集」最後の大峯あきら俳句鑑賞

 

                  

大きく、高く、深沈と           草深昌子


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大峯先生の作品をもう拝見できないとは・・・何ということであろうか。

最後になってしまった、山本洋子編集長へ送られた原稿を見せていただいた。

そこには、かの独特のまろやかにも力強いご筆跡があって、今にも語りかけてくださりそうな笑顔が充満していた。

大峯先生は終始、詩の生まれる不易の源泉は「自分が感じたことを正直に言う」ことだと、

実作からも鑑賞からも示して下さった。


はっきりと御降り音をなしにけり


さっきから降っていたお正月の雨が、今まさに雨の音として身の内に染み入るように目出度く感じられたのである。


 ひとり居る時の時雨のよく聞こゆ

大雪や音立ててゐる筧水

短夜の雨音にとり巻かれたる


蛇笏賞受賞句集『短夜』にある句々。

先生は耳がよかった、いや耳が敏いでは済まされない、詩人の沈思黙考。

大雪の句は菅浦の吟行であった、あの寒さを行きながら、どうして筧の水の音などを聞き止め得るのであろうか、

テーマを逸らさない感覚の鋭さに驚いたことを忘れない。

いずれも、絵画ならぬ、俳句表現ならではのもの。

この世の音のなつかしさに、ただしみじみとするばかりである。


千股から飯貝に来て木の実植う

木の実植う粉雪どつさり降りにけり


吉野町飯貝は、芭蕉も訪れたことがあり、〈飯貝や雨に泊まりて田螺きく〉の一句を遺している。

ここには大峯先生の専立寺と同じ、蓮如ゆかりの浄土真宗本願寺派の本善寺もある。

千股とは聞き慣れない地名であるが、地図を見ると千股と飯貝は吉野川を挟んでいる。

風変りな地名がふとした不思議を誘って、ダイナミックである。

「木の実植う」という悠久の思いに、「どっさり」は痛快。

貯木場もあるこの地の樹々は世々に根付いてやまないもののようである。

 

高く行く大鳥ばかり春隣

 大鳥のよぎりしのみの春隣


鳶と言わずして大鳥という、その心持ちがすでに大らかである。

今しがた、鳶がよぎった、ただそれだけで時の移りに寄り添われるのである。

嗚呼、大鳥はどこへ行くのだろう。

生きとし生けるものの切なさを感受された、その心映えは、鳥となり花となり、

等しく季節の中にあるいのちを慈しまれるものであったに違いない。


松風の毎日高き二月かな

冬川に大とどろきや吉野線


 大きく、高く、深沈と、最後まで精神の張りは失せなかった。


「芭蕉の俳句が三百年間生きて、今日の我々を感動させるとしたら、作品のみならず、

それを作った芭蕉その人が生き返っている。我々は流れる時間の中に生きているが、

その中で時間を超えたものと関係している」というお説は、

今後、大峯あきら作品を読み返すたびに、真理として実感されることになるだろう。

先生は見えなくなったけれども、先生はそこに居られる。


(平成30年5月号「晨」第205号所収・大峯あきら代表追悼特集)


by masakokusa | 2018-05-31 19:51 | 俳論・鑑賞(2)NEW! | Comments(0)
大峯あきら先生との思い出(大峯あきら代表の一句並びに追悼句)   草深昌子


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  大峯あきら先生の一句


   檜山出る屈強の月西行忌       大峯あきら



  追悼句


   寒月のあまり大きく満ちにけり      草深昌子



師は「どこまでも深い写生を」と、とことん教えてくださいました。

お応えできなかったことを悔やみます。

でも今は何故か、稀に拙句に掛けてくださった、跳び上がるほど嬉しかったお声が身の内に反響するばかりです。

お励ましの言葉を宝として生きて参ります。

また、真理を語ってくださる迫真のご法話から、人は死なないことを知りました。 

大峯先生に邂逅できましたことは、私の人生の中で、何より大きな幸せでありました。


(平成30年5月号「晨」第205号所収・大峯あきら代表追悼特集)


by masakokusa | 2018-05-31 15:06 | 俳論・鑑賞(2)NEW! | Comments(0)
昌子作品の論評・藤山八江

   軍港や秋の灯しの理髪店      草深昌子



 何の変哲もない光景を変哲もなく叙して心惹かれる。

 日常どっぷりの景が、あらぬかそこは軍港であり、秋の灯しが淋しげの

 理髪店なのだ。

 何処にあっても人の暮しはそう変わらない。

 軍港だけに、ことにそれが尊く思われる。

 先年、軍艦を始めて間近に見たのが、舞鶴の港だった。



(平成303月号「晨」所収)


by masakokusa | 2018-05-28 12:07 | 昌子作品の論評 | Comments(0)
『青草』・『カルチャー』選後に・平成30年4月       草深昌子選
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虫飛んで魚ひるがへる薄暑かな    坂田金太郎


 初夏の、少し暑さを感じる頃の気候が薄暑である。

「薄暑」の句と言えば、私の先師、原裕先生の〈声かけし眉のくもれる薄暑かな〉が、思い出される。

薄暑の頃は一番過ごしやすい時期ではあるが、急に気温が上昇して汗ばむほどになると、少々の不快感も滲ませるものになるのであろう。

ところで、掲句には、そんな心情をまともには表出していないが、それに似たある種のやるせなさのようなものをひそませながら、この時節の自然を見事に表出している。

「虫飛んで」は誰にでも詠えるが、「魚ひるがへる」が作者独特の把握である。

魚がスイスイと泳いだのでは薄暑にならない、水を裏返すように水面に胴体を見せたのだろう。私などは空に翻る鯉のぼりまで想像して楽しんでいる。




黒潮の波打ち寄せる遍路かな     河野きなこ


遍路は、その昔空海が修行された四国八十八か所の霊場を巡拝することである。

私も数回遍路の真似事をしたことがあるが、大方はバスツアーであって、いわば物見遊山の観光であった。それでもいたるところで村人の接待を受けるとそれなりに信心の気持ちを深くさせてもらえたものである。

 遍路を春の季題としたのは、高濱虚子の〈道のべに阿波の遍路の墓あはれ〉以来だとされている。

 次第に「遍路」も拡大解釈されて、坂東、秩父など三十三か所巡りなどもよく詠われるようになった。

 さて、掲句の作者は、四国遍路そのものをただ「黒潮の波打ち寄せる」と言い放って、それきり何も付加されなかった。

一切は読者の想像に任された、まことに大ぶりの秀句である。

黒潮は日本の近海を流れる暖流である。その海流の色は、黒く見えるまで青々としているのであろう、四国の沖辺りは大きくうねっているのであろうか。

私には、四国の風土、季節感はもとより、この盛んなる白波は、遍路杖をついて黙々と行かれるお遍路さんの足下のみならず、その心中にまでひたひたと打ち寄せるもののように実感される。



 

花冷の京の新居を訪ねけり      二村結季


 桜の咲く頃はあたたかくなっているのではあるが、不意に寒くなって震えあがることがある、それが「花冷」という季題である。

ことに京都の花冷は有名で、私も何回も体験していて、花冷というとすぐ京都を思い出してしまうほどであるが、ハナビエという言葉のひびきそのものが、すでに古都のゆかしさを印象させるのかもしれない。

そんな花冷に対して、掲句の新居は救いのように効いている。

古びた神社仏閣や苫屋でなく、新居であることによって、京都の冷たくも美しい空気感がいっそう際立ってくるのである。

作者は京都の桜を心ゆくまで堪能されたことであろう。



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永き日や干されて匂ふ濯ぎもの    中原マー坊


 春になると、めっきり日が永く感じられる。本来日が一番長いのは夏至の頃であるが、気候のよろしさが、長閑さをさそって気分がゆったりするのである。

この句はそんな春日遅遅たる日暮、洗濯物を取り入れたら、ふわっと日の匂いが漂ったというのであろう。

春の燦燦たる日差しが干し物に乗り移っていたのである。

俳句の骨法を心得た簡潔さが気持ちいい。

作者は写真の腕前がプロ級で、趣味としてはやはりカメラが一番、俳句は二番であろうと、かねがね俳句の側としては残念に思っていたが、こういう一句ができると俄然飛躍されるのではないだろうか。

いや、一番も二番もなく写真と俳句はよく似ている、その両者を切磋琢磨してこられたからこその一句であろう。




横浜は運河に浮かぶ花筏       間草蛙


満開の桜の花びらがやがて水に散って、まるで筏のように流れてゆくのが「花筏」である。

俳句初心の方はどういうわけか花筏が好きでよく詠われるが、私自身はそれほど興趣をもたないものであるが、この一句には唸らされた。

写真に撮ればまさに抜群のアングルであろう。くろぐろと厚みある水の表面にびっしりとつまった桜色は何とも言えない。

花筏と言えば千鳥ケ淵も神田川も素晴らしいが、横浜という歴史ある港の、その運河の花筏は美しいだけではないだろう、 しばらく余韻に浸ってもいいのではないだろうか。

 「横浜は」という打ち出し、「運河に浮かぶ」という静かな繋ぎ、それを受け止めて「花筏」というものをきっちり見せる。

要は、俳句は何も言わない、読者の想像力にお任せするのがベストなのである。



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以下の句に注目しました。


春眠や居間から笑ひ声のして     瓜田国彦

下萌や信楽焼の大たぬき       山森小径

春暁やずしりと白き月のあり     中野はつえ

目秤で皿に盛りたる蛍烏賊      伊藤波

囀や鉢植えに水たつぷりと      石堂光子

灯のごとく藪の椿の揺れてをり    平野翠

中天を燻り出したる野焼かな     湯川桂香

夏めくや富士白々とそこにあり    佐藤昌緒

花屑の銀河の中を駈けにけり     泉いづ

天蓋のレースの如き桜かな      宮本ちづる

鍬置いて見遣れば早やも燕かな    狗飼乾恵

金剛は頂き見せず鳥の恋       森田ちとせ

鎌倉のしづやしづ舞ふ桜かな     石原由起子

もこもこと山ふくらんで桜咲く    大本華女

州の風に躍るや藤の花       菊竹典祥

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竹林に囀る一羽ありにけり      潮雪乃

機関車の側で飛ばさう石鹸玉     芳賀秀弥

暁星の一つへ強く囀れり       末澤みわ

ビル風や二羽のつばくろ旋回す    堀川一枝

英虞湾や大小浮かぶ島うらら     田渕ゆり

花の雲白い子犬を引き連れて     菊地後輪

花散るや籾をひたして水を引く    関野瑛子

経唱ふ遍路に道を譲りけり      新井芙美


by masakokusa | 2018-05-28 10:24 | 『青草』・『カルチャー』選後に | Comments(0)
昌子作品抄・角川『俳句』平成29年9月号


  俳人スポットライト


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     熊本              草深昌子



  明易き熊本城の崩れやう


  人の立つやうに木の立つ安居かな


  夏鴨の鳴いて日中を飛びにけり


  梅雨茸の脂のやうなるもの吐ける


  開きては閉ぢては扇ものしづか


  白南風や城をかためて樟大樹


  たてがみといふも馬刺しの米焼酎




昨年11月、第三句集『金剛』を発刊し、今年2月に、結社誌「青草」創刊の運びとなりました。

俳句を始めた頃に、〈どの子にも涼しく風の吹く日かな  飯田龍太〉に出会い、

 40年経って、〈涼風のとめどもなくて淋しけれ  大峯あきら〉に出会いました。

 尊敬する師をもつ幸せ、俳句連衆の皆さまに鍛えていただける幸せを今さらに噛みしめています。






by masakokusa | 2018-05-02 23:59 | 昌子作品抄 | Comments(0)
受贈書誌より感銘句(平成30年4月)                  草深昌子抄出

「ハンザキ」(主宰 橋本石火)

   菓子折に雛乗せあり菓子司     橋本石火

   梅の寺天女は軽き沓を履く     渡辺みえ子



「俳句饗宴」(主宰 鈴木八洲彦)

   妻留守の宵の春雪降りにふる     鈴木八洲彦

   春一番物置小屋の戸が外れ      小岩よし子



『富士山麓・晩年』(続・佐々木敏光句集)

   晩年や前途洋洋大枯野     佐々木敏光

   裏山を森へなだるる霧の塊

   わが森はわが大宇宙冬籠

   郭公や芭蕉の道も下校時

   富士ひとつ月のひとつの良夜かな




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「星雲」(主宰 鳥井保和)

   あおあおと高野八峰雪月夜     鳥井保和

   緩やかな風が解きぬ春霞      竹内正興



「大阪俳人クラブ」(発行人 茨木和生)

   獺祭無人カメラの作動中      山内繭彦

   朝日さす海に声湧き鴨帰る     野村朴人



「群星」(代表 藤埜まさ志)

   吾妻橋船と潜れる都鳥       奈良比佐子

   注連飾る艦の真中の大神棚     藤埜まさ志



「秋草」(主宰 山口昭男)

   孟宗の古き青色雪ふりつむ        山口昭男

    ポケットや手袋出せばティシュ落ち    木村定生


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「玉梓」(主宰 名村早智子)

   蜷の道蜷の帰つて来ない道      名村早智子

   ことごとく木に巣箱ある小学校    井上惠美子


   

「晶」(主宰 長嶺千晶)

   庭の松見えず吹雪の真横より     長嶺千晶

     浅間山仰ぐにマスク外しけり     寺島民子



「獅林」(主宰 的場秀恭)

   朧夜の静けさに人通りけり     的場秀恭

   紙皿が似合ふ天麩羅蕗の薹     小原 勝



「鳳」(主宰 浅井陽子)

   薄氷を回して鳥の立ちにけり     浅井陽子

   大寒やズボン一本買ひ足しぬ     前尾五月男


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「都市」(主宰 中西夕紀)

   風邪抜けの喉にうれしき蕎麦の冷え     中西夕紀

   さざん花へ身を投げ入れる鳥のこゑ     城中 良



「雲取」(主宰 鈴木太郎)

   花種の日を吸ふ力しづかなり     鈴木太郎

   船頭の耳揉んでゐる夕焚火      鈴木多江子



「里」(代表 島田牙城)

   坂道に風の和したる桜かな     堀下翔

   和紙切つて旧正月の作りもの    中村与謝男



「泉」(主宰 藤本美和子)

   ねむごろに掃く白梅の影の内     藤本美和子

   花の名の漢方薬や二月来る      きちせあや


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「松の花」(主宰 松尾隆信)

   初日いまだし天上はすでに青     松尾隆信

   爽やかに連山とぎれなかりけり    荒井寿一



「ににん」(代表 岩淵喜代子)

   春月の一回りして同じ位置       服部さやか

   地吹雪や二歩先にらむ足の位置     栗原良子



「俳句饗宴」(主宰 鈴木八洲彦)

   春の鹿起てども人を見るでなく     鈴木八洲彦

   寒雁の声なす沼の底ひより       星 節子



「梓」(主宰 上野一孝)

   盆の松入れ一族の初写真       上野一孝

   いま何か言ひし貌なりいぼむしり   出口紀子


by masakokusa | 2018-05-01 23:59 | 受贈書誌より | Comments(0)