カテゴリ:受贈書誌より( 9 )
受贈書誌より感銘句(平成30年8月)                  草深昌子抽出



『力石を詠む』第四集    高島慎助(四日市大学教授)

               山口友子(三重県書道連盟理事)


   かつて男達が力を競った力石。

   その力石に想いを込めて詠まれたものである。

   俳句、短歌、川柳、狂歌など280作をまとめた。


   陽炎や土に埋もる力石         正岡子規

   炎天の「卯之助石」の熱きかな     高島慎助

   黄落の海にぷかりと力石        酒井一止

   力石どすんと寒の来てゐたり      松永浮堂

   青葉寺二つ据ゑたる力石        草深昌子



   

f0118324_16591368.jpg

   

WEP俳句通信』№105

   老鶯を画眉鳥まぜつかへしたる     本井 英

   散りぢりの雲の安らや草茂る      瀧澤和治

   またたびの白うらがへるみなみかぜ   井上康明


   

『冬の雲』小堀紀子句集 第二句集

   消ゆる雲ありながら湧く冬の雲     小堀紀子

   虚子の忌や休むことなく海うごき      

   これほどの嵐にしづか紅椿         

   奢莪咲いて仏事の靴の黒びかり       

   恋の猫ひと来ぬ坂と知つてをり




「都市」(主宰 中西夕紀)№64

   青大将と逃げも隠れもせぬ我と     中西夕紀

   梅林のかをりのうごく風がくる     城中 良      



f0118324_12451273.jpg

「詩あきんど」(主宰 二上貴夫)第32

   峰雲に不二は日本一の山      二上貴夫

   引き潮に足を踏ん張る立夏かな   佐野恋蔵



「ふらんす堂通信」№157

   受賞特集

   33回詩歌文学館賞受賞   岩淵喜代子句集『穀象』

   第9回田中裕明賞受賞    小野あらた句集『豪』

   こわい俳句(新連載)     宇多喜代子

   現代俳句ノート        高柳克弘

   虚子研究レポート       岸本尚毅

   BLな俳句          関悦史

   新刊紹介 

富安風生『愛は一如』・後藤比奈夫『俳句初学作法』

大島史洋『斎藤茂吉の百首』・シリーズ自句自解『ベスト100山本洋子』

草深昌子『金剛』他



「鳳」(主宰 浅井陽子)№25

   箱庭を目のゆつくりと過りゆく     浅井陽子

   色消えてなほ存ふるしやぼん玉     貞許泰治



「松の花」(主宰 松尾隆信)№248

   夏めくや風をはらめるすべての帆     松尾隆信

   余生とは筍飯のおこげかな        横山節子


f0118324_14163827.jpg

『るん』辻村麻乃句集 第二句集

   出会ふ度影を濃くする桜かな     辻村麻乃

   夜学校「誰だ!」と壁に大きな字     〃

   森閑と海の岩屋に夏日さす        〃

   出目金も和金も同じ人が買ふ       〃

   生身魂見舞うて直ぐに叱られて      〃



「里」(主宰 島田牙城)№185

   ともがらに明と暗あり溽し      島田牙城

   夏の月塩蔵和布掴み出す       上田信治

   金扇にあらく塗りたる朱なりけり   堀下 翔



「俳句饗宴」(主宰 鈴木八洲彦)第762

   水鶏笛またも足腰揉みをれば      鈴木八洲彦

   有り体にもの言ふだけや籠枕        〃

     病床吟 

   目覚めては脈とる癖や五月晴      故・伊藤胡風子(90歳)

   信号機青となる今日子供の日        〃



「ハンザキ」(主宰 橋本石火)№36

   遅れ来てどかと座りぬ業平忌      橋本石火

   軽鴨の子や潜りてはすぐ顔を出す    池森はる子



f0118324_14172320.jpg


「阿夫利嶺」(主宰 山本つぼみ)257

   落す水なくて水車に夏の霧      山本つぼみ

   老鶯やまほらに畝傍山低し      小沢真弓


by masakokusa | 2018-08-31 23:06 | 受贈書誌より | Comments(0)
受贈書誌より感銘句(平成30年7月)                  草深昌子抽出



「浮野」(主宰 落合水尾)第490

   身に触れて去りゆく音を滝といふ     落合水尾

   動かざることに徹して墓碑灼くる     龍野 龍



f0118324_14012953.jpg

   



「家」(代表 加藤かな文)第202

   東京のやうな一画明易し      加藤かな文

   夏めくや川越ゆる石二つ三つ    晏梛みや子




『相互批評の試み』岸本尚毅・宇井十間 (ふらんす堂)


   俳句の即物性について

   日常性について

   重くれと軽み

   多言語化する俳句

   叙情と劇の間

   一様性から多様性へ

 

  往復書簡という形は両者の関心や視点や見解の相違を露わにする。

  相手の思考を確認しながら論を組み立てる過程を読者に示すことにより、

  読者が、「宇井と岸本はあんなこと書いているが、自分ならこう考える」と思ったとすれば、本連載は十分に有益だったと思う。

(岸本尚毅)


  良い俳句作品は、それに見合うような良い読手を必要とする。良い読手が育つためには、読み手の言葉もまた評価されるような文化が必要である。

そもそも、一般に作品を批評するということは誰かと対話をするということではなかったか。

  (宇井十間)





「秋草」(主宰 山口昭男)第104

   裏の戸につつかひ棒や栗の花     山口昭男

   夕飯よけふは昼寝をせぬままに    木村定生


f0118324_12531189.jpg


「獅林」(主宰 的場秀恭)№971

   雨蛙のぞけば草に成り済ます     的場秀恭

   舌を焼く熱きスープも夏料理     松島圭伍


  田中康雄様を悼む・主宰と18名の会員の方々の追悼文集

     新樹眩し癌克服を告げられて     田中康雄

     琉金や水中に風あるごとく        〃

     盃は小さめが良し蕪蒸し         〃




『管制塔』内田茂句集    序・大島雄作 跋・ふけとしこ

   星飛んで管制塔に人の影

   狂言のやうに人逝く寒の内

   前を向く子規の写真やあたたかし

   半ばから扇の止まる話かな

   ロボットの声は少年冬ぬくし




「晶」(代表 長嶺千晶)創刊6周年記念号

    葦の間を沐浴の子等泣きたつる     長嶺千晶

    うつうつと雨の土曜日葱坊主      木村かつみ


f0118324_14434174.jpg

「雲取」(主宰 鈴木太郎)№251

   鳶の輪のいつしか消えて釣荵     鈴木太郎

   花冷や指もて蓼太句碑を読み     下條杜志子



「舞」(主宰 山西雅子)№90 夏季特別号

    明日葉の雄々しき丈や雨の島       山西雅子

    なんとなく蜘蛛といつしよに待ちかまへ  小川楓子



「里」(代表 島田牙城)№184

   木の裏の木が見えてゐる大南風      島田牙城

   十薬や崩れはあれど穴太積み       中村与謝男



「澤」(主宰 小澤實)通巻220

   新緑や吊橋を吹き上がる風       小澤 實

   瓜割つて種掻きだすや瓜たてて     川上弘美



「梓」(主宰 上野一孝)第31

   春泥を来てかつぽれを習ひをる     上野一孝

   行き先は夫婦べつべつ水温む      水野晶子


f0118324_22561462.jpg

「松の花」(主宰 松尾隆信)通巻245

   湘南の沖に大島揚雲雀         松尾隆信

   コクリコや晶子百花の屏風の書     中村光世



「俳句饗宴」(主宰 鈴木八洲彦)第761

   わらわらとゲラ受け取りし薔薇の門     鈴木八洲彦

   ライラック独りの夜はリラと呼ぶ      菊地たつ子



「ハンザキ」(主宰 橋本石火)№35

   夏服や顔一つ分高き人       橋本石火

   今着きし船や鳥貝提げ来たる    山中 綾



「星雲」(主宰 鳥井保和)第44

   茶畑の畝に一本今年竹        鳥井保和

   人はみな天守へ向かふ花の昼     園部知宏



「ににん」(代表 岩淵喜代子)№71

   巣立鳥真昼は家の中暗し      岩淵喜代子

   滴りの道を大きな甕として     服部さやか



「阿夫利嶺」(主宰 山本つぼみ)256

   師との旅ありしを遠く花サビタ     山本つぼみ

   蚊喰鳥空にでこぼこある如く      芝岡友衛


by masakokusa | 2018-07-31 22:48 | 受贈書誌より | Comments(0)
「澤」(主宰 小澤實)18周年記念号より ~ 俳句結社誌「青草」を読む


f0118324_20571332.jpg

「澤」平成30年7月号 通巻220号

      窓 俳句結社誌を読む          高橋博子





   「青草」第3号 2018年春季号


 

厚木市の生涯学習の「俳句入門講座」より発足した。

 草深昌子主宰は、〈「青草」の俳句は初めて俳句を作る喜びに端を発したものです。

 これからも飾らない私、子供の心を持った私の句でありたいと願っています〉と冒頭に記された。



   めいめいのことして一家爽やかに     草深昌子

   晴れがましすぎはしないか干蒲団      同


 一句目、ある日曜日。自分の勉強や趣味に一家それぞれ充実した時を過ごしておられる。

 背中に暖かい視線を感じながら干渉しないお互い。気持ちのよい清々しい風が吹き渡る。

 二句目、集合住宅のベランダの風景であろう。

 一家全員の蒲団がぎっしり干され午前の日を浴びている。

 夜には子供たちは陽光を含みふっくらとした蒲団にぐっすりと眠るのだろう。

 健康的な生活感は面映ゆいほど。「晴れがましすぎはしないか」の措辞が印象的。洒脱。




   青蜜柑太る力に揺れてをり     菊竹典祥


 青蜜柑のつやつやとした表皮。段々と実を太らせる様子は生命力豊かだ。

 風に揺れる蜜柑をまるでみりみりと実る力に揺れているようだと描かれた。

 実りを実感し喜んでいる。逞しい。



   独り居の指差し確認蚯蚓鳴く     古舘千世


 独り住まいでは、夜休む前、点検、戸締り、消灯と確認事項が多々あろう。

 ひとつひとつ指差し確認をされている。

「蚯蚓鳴く」は秋の夜、土の方からジーとしたような音が聴こえること。

 本当は螻蛄の声らしいがこれを発音器官のない蚯蚓の鳴き声としたのだ。

空想的なロマン溢れる季語により、現実生活を笑いとばし楽しんでおられる様子が伝わる。



   夕立の過ぎたるあとの匂ひかな     熊倉和茶


 夕立は夏の蒸し暑い午後、積乱雲が降らせる雨。急に大粒な雨が降り出す。

 すぐに雨は上がりその後すっかり涼しくなる。

 街では街路樹の木々、アスフアルト、建物が水に洗われ別世界のよう。

 山では木々や草が匂い立つ。雨が降る前と気配が一変する。その転換を語られた。



   尻振つて横々歩く鴉の子     石原虹子


 市街地では、鴉は疎まれる身近な鳥だ。だが親子の情愛深く番で子育てをするという。

 知能が高く社会性もある。

 鴉の子は大柄な割には声や仕草が幼く人懐っこい。

掲句では丸い尻を振って跳ねるように横歩きを繰り返す様を楽しげに描いた。臨場感溢れる。

親鳥も上空で見守っているのかもしれない。



   鱧さうめんせつかくやから竹の箸     柴田博祥


 鱧は六月下旬からの一ケ月あまりが旬とされ、関西で賞味される。

 鱧そうめんを検索してみた。鱧そうめんは鱧のすり身を心太状に突き出した物。

 鴨川の床や貴船の川床料理に出てくるという。ふむふむ、さっぱりと誠に美味しそうだ。

京言葉がはんなりと効果的。竹の箸を添え完璧に涼しそうだ。



   足首のまぶしきことよ夏落葉     川井さとみ


 少女たちは薄着となり、しなやかな足首が良く目立つ。

 溌剌とした若さがまぶしく映える。初夏、常緑樹は新しい葉ができると徐々に葉を落としてゆく。

夏落葉は秋の落葉と違い色鮮やかではないが、樹木の成長の証である。



   揚羽蝶ホースの水を潜りけり     新井芙美


 大形で色鮮やかな揚羽蝶。掲句は夏の日差しを受けホースの水を掻い潜っていく揚羽蝶を描かれた。

撒かれる水を潜り、身を翻し、しなやかに飛び抜けて行く揚羽蝶。日差しの中ホースの水はきらきらと輝く。



   ののののとこごみは芽吹く太古から     泉 いづ


 こごみはわらびやぜんまいと並ぶ春を告げる山菜。美味しく食べられる草蘇鉄の若芽だ

 形は平仮名の「の」の字状でユーモラスだ。化石の中にも存在したというシダ植物の仲間。

 太古から人の身近にあった植物なのだ。

掲句はまず、上五の「ののののと」の「の」の連続に目を奪われて楽しい。

さらに句中の半分をオ母音が占め軽やかだ。

内容豊かに目にも耳にも新鮮。覚えやすく、いつの間にか口遊んでしまう。

  


by masakokusa | 2018-07-31 18:42 | 受贈書誌より | Comments(0)
受贈書誌より感銘句(平成30年6月)                  草深昌子抄出

「玉梓」(主宰 名村早智子)№76

   校門の桜一番大きな木       名村早智子

   本日はここが基地なり花筵     房安栄子



「秋草」(主宰 山口昭男)№103

   しばらくは草笛のため恋のため      山口昭男

   塗りたての畦の匂ひにぶつかりぬ     石崎圭太



f0118324_21531674.jpg




「群星」(代表 藤埜まさ志)奈良文夫先生追悼特集号 176号

   聖塔は離りて仰ぐ春曇り       藤埜まさ志

   待つててと母追ふ小橋水温む     奈良比佐子


   

「獅林」(主宰 的場秀恭)№970

   柏餅仕上げは母のひとひねり     的場秀恭

   夏帽子とりて峠の風かぶる      田渕豊久



朴の花」(主宰 長島衣伊子)103

   ひろびろと波の引きゆく啄木忌     長島衣伊子

   ぼろ市の風に吹かるる長襦袢      矢島康吉



「巴美野」(代表 坂田恵美子)創刊号

   火の山の裾野を走る水の秋       坂田恵美子

   夢殿の雫となりし春の雪        青木英二


f0118324_11224030.jpg

「雲取」(主宰 鈴木太郎)

   はためける雲に日の暈夏つばめ     鈴木太郎

   筋力は舌の先にも揚雲雀        鈴木多江子



「なんぢや」(代表 榎本享)

   紙やすり巣箱の口を丹念に     榎本享

   姫女苑工事現場の今日静か     えのもとゆみ



「都市」(主宰 中西夕紀)

   切株に坐れば斜め鳥帰る      中西夕紀

   盆梅や末座にどつと笑ひ声     大矢知順子



「松の花」(主宰 松尾隆信)

   三月の利休鼠の空がある        松尾隆信

   砲丸投げの玉ころころとあたたかし   中丸しげこ


f0118324_18363056.jpg

「阿夫利嶺」(主宰 山本つぼみ)

   字の名の古ぶ木の橋花薺      山本つぼみ

   和布干す沖の白帆の余り風     柴岡友衛



「里」(主宰 島田牙城)

   薔薇見酒とてもさかしらなる猫よ     島田牙城

   大足の下駄鬻ぎあり春祭         堀下翔



by masakokusa | 2018-06-29 18:28 | 受贈書誌より | Comments(0)
受贈書誌より感銘句(平成30年5月)                  草深昌子抄出

「俳句饗宴」(主宰 鈴木八洲彦)

   老うもよき茅花ながしとなりにけり     鈴木八洲彦

   ひしめける蕾の中の初桜          加藤ひさ子


f0118324_15262360.jpg

「運河」(主宰 茨木和生)

   野に遊ばむ命生き切りたる妻と     茨木和生

   雉鳴けり妻の棺を持ちをれば       〃

   夕空に燃えうつりたる野焼の火     谷口智行



「秋草」(主宰 山口昭男)

   約束の人立つていゐる春の雨     山口昭男

   薄氷と水のさかひの滲みかな     石崎圭太



「ハンザキ」(主宰 橋本石火)

   鯖缶に鯖の絵春の日が西に     橋本石火

   桜鯛旨し屋島は遙かなり      宮田真子



『菅美緒』シリーズ自句自解Ⅱベスト100

   近州の飯の旨さよ鮴もあり      菅美緒

   ひと雨の過ぎたる処暑の比叡山   

   若鮎を火にのせ近江ことばかな

   鮒釣るや餌何やかや雪に置き

   八月や草色のもの草を跳び



「獅林」(主宰 的場秀恭)

   蟻いつも急きて遊びの貌見せず     的場秀恭

   堰落ちて組み直しけり花筏       あめ・みちを


f0118324_15145641.jpg


『鳥の手紙』白石喜久子 第二句集

   祈る手のやがて木の実を拾ひけり     白石喜久子

   巣箱かけ鳥の手紙を待つ子かな

   出雲まで続いてゐたる花の雲

   箱庭の働く人に雨上がる

   丈草の舟出のあたり草の花



「雲取」(主宰 鈴木太郎)

   神代の白雲となる大桜     鈴木太郎

   眼間を禰宜の袴と初蝶と    下條杜志子



『球殻』花谷清句集 第二句集

   春の雪想うは思い出せぬこと     花谷清

   しやぼん玉ひとつふたつは風を蹴り

   ビー玉の影は黄みどり鳥雲に

   百合一輪フエンスに茎と隔たれて

   花屑の轢かれ鵯色蘇る



「八千草」(主宰 山元志津香)

   昭和遠く平成速し据り鯛     山元志津香

   ペンキ塗る足場が取れて十二月  横川博行



「詩あきんど」(主宰 二上貴夫)

   裸木をつかむ老者の手もあらむ     二上貴夫

   陽炎に乗る子のいない三輪車      中尾美琳



「はるもにあ」(主宰 満田春日)

   光りつつ色失へる春の海      満田春日

   竹馬の上で降り方考へる      山崎杏


f0118324_20425078.jpg

「松の花」(主宰 松尾隆信)

   妻戻り来たるよ豆を撒くとせむ     松尾隆信

   鬼は外いつよりか声張らざりし     佐藤公子



『時空の座』拾遺・エッセー集    西池冬扇


  私の頭の中にはたくさんの人が時空を超えて住んでいる。

  それらの人々に時どき出てきて貰って架空の座談会を行う。

  称して時空の座という。

  時空の座がある限り人間は肉体を離れて存在することができる、などと不遜なことを言えば嘘っぱちだ。でも、そういって人に勧めたいくらい時空の座は楽しい。

                   ―「あとがき」より抜粋

  里山のあのあたりから祭り笛     西池冬扇

  行く秋の触れて冷たきモラエス像    〃

  モラエス像撫ぜる双子の遍路笠     〃


  

『冠羽』 仲原山帰来句集

  こでまりや雨くる多摩の坂がかり      仲原山帰来

  文京は槐の花の散るところ

  木枯や夕空へ飛ぶ葉のあまた

  日脚伸ぶ酒匂河口の波がしら

  塗り深き大山独楽を土産とす



「里」(代表 島田牙城)

  罐集めゆくがたつきの黄沙かな     島田牙城

  髪留は髪にしめりて卒業期       堀下翔




『雨奇』 前田攝子句集

  酒の粕かかへて雨の本堅田      前田攝子

  濡らしてはならぬ謄本春みぞれ

  山桜朝のひかりを温めをり

  梨咲いて介護ベッドの運ばれ来

  ほととぎす天王山の雨呼びぬ



  

  

  


by masakokusa | 2018-05-31 19:59 | 受贈書誌より | Comments(0)
受贈書誌より感銘句(平成30年4月)                  草深昌子抄出

「ハンザキ」(主宰 橋本石火)

   菓子折に雛乗せあり菓子司     橋本石火

   梅の寺天女は軽き沓を履く     渡辺みえ子



「俳句饗宴」(主宰 鈴木八洲彦)

   妻留守の宵の春雪降りにふる     鈴木八洲彦

   春一番物置小屋の戸が外れ      小岩よし子



『富士山麓・晩年』(続・佐々木敏光句集)

   晩年や前途洋洋大枯野     佐々木敏光

   裏山を森へなだるる霧の塊

   わが森はわが大宇宙冬籠

   郭公や芭蕉の道も下校時

   富士ひとつ月のひとつの良夜かな




f0118324_13351807.jpg

「星雲」(主宰 鳥井保和)

   あおあおと高野八峰雪月夜     鳥井保和

   緩やかな風が解きぬ春霞      竹内正興



「大阪俳人クラブ」(発行人 茨木和生)

   獺祭無人カメラの作動中      山内繭彦

   朝日さす海に声湧き鴨帰る     野村朴人



「群星」(代表 藤埜まさ志)

   吾妻橋船と潜れる都鳥       奈良比佐子

   注連飾る艦の真中の大神棚     藤埜まさ志



「秋草」(主宰 山口昭男)

   孟宗の古き青色雪ふりつむ        山口昭男

    ポケットや手袋出せばティシュ落ち    木村定生


f0118324_20015176.jpg

「玉梓」(主宰 名村早智子)

   蜷の道蜷の帰つて来ない道      名村早智子

   ことごとく木に巣箱ある小学校    井上惠美子


   

「晶」(主宰 長嶺千晶)

   庭の松見えず吹雪の真横より     長嶺千晶

     浅間山仰ぐにマスク外しけり     寺島民子



「獅林」(主宰 的場秀恭)

   朧夜の静けさに人通りけり     的場秀恭

   紙皿が似合ふ天麩羅蕗の薹     小原 勝



「鳳」(主宰 浅井陽子)

   薄氷を回して鳥の立ちにけり     浅井陽子

   大寒やズボン一本買ひ足しぬ     前尾五月男


f0118324_17563859.jpg

「都市」(主宰 中西夕紀)

   風邪抜けの喉にうれしき蕎麦の冷え     中西夕紀

   さざん花へ身を投げ入れる鳥のこゑ     城中 良



「雲取」(主宰 鈴木太郎)

   花種の日を吸ふ力しづかなり     鈴木太郎

   船頭の耳揉んでゐる夕焚火      鈴木多江子



「里」(代表 島田牙城)

   坂道に風の和したる桜かな     堀下翔

   和紙切つて旧正月の作りもの    中村与謝男



「泉」(主宰 藤本美和子)

   ねむごろに掃く白梅の影の内     藤本美和子

   花の名の漢方薬や二月来る      きちせあや


f0118324_17434584.jpg


「松の花」(主宰 松尾隆信)

   初日いまだし天上はすでに青     松尾隆信

   爽やかに連山とぎれなかりけり    荒井寿一



「ににん」(代表 岩淵喜代子)

   春月の一回りして同じ位置       服部さやか

   地吹雪や二歩先にらむ足の位置     栗原良子



「俳句饗宴」(主宰 鈴木八洲彦)

   春の鹿起てども人を見るでなく     鈴木八洲彦

   寒雁の声なす沼の底ひより       星 節子



「梓」(主宰 上野一孝)

   盆の松入れ一族の初写真       上野一孝

   いま何か言ひし貌なりいぼむしり   出口紀子


by masakokusa | 2018-05-01 23:59 | 受贈書誌より | Comments(0)
受贈書誌より感銘句(平成30年3月)                  草深昌子



「ハンザキ」2018年4月号

   海鼠突く一人の海となつてをり     橋本石火

   肉を巻くたこ糸バレンタインの日    高橋ちづる



「阿夫利嶺」4月号

   やがて子に譲る一木梅一輪      山本つぼみ

    軍用機二機立春の雲を裂く      小沢真弓



「円座」20184月号

   憂国忌大きな鳥に大き檻        武藤紀子

   つまづきつ滑りつ落葉道をゆく     中田剛



「秋草」20184月号

   赤ん坊のすつぱきにほひ涅槃西風     山口昭男

   水ぬるむ底に穴あく植木鉢        荒木千恵子



f0118324_12455759.jpg

「獅林」20184月号№967

   暮れ泥む空盆梅に親しめる     的場秀恭

   百歳の樹の名は乙女椿かな     岩佐世紀子



「なんぢや」20184月号

   絹糸のやうな骨ある柳葉魚かな     榎本享

   大正の生れ同士や春ショール      西野文代

   一陽来復すつぽんの鼻づらも      川嶋一美


雲取」№247 20184月号

   鷽替の嘘食ふといふ嘴赤し     鈴木太郎

   白毫にたまる冬至の光かな     下條杜志子


「里」3月号

   春遠からじ新聞を貸してくれ    堀下 翔

   枯草の近きにふつと子供ゐる     〃

   悴んでゐる目に川の面が映る    青本柚紀


「松の花」3月号

   ちやんちやんこ着て棒秤持ちてをる   松尾隆信

   雪吊の松の真上の一番星        佐藤公子


「ハンザキ」20183月号

   人通る道を猿来る春隣         橋本石火

   ぜんざいの餅よく伸びて女正月     土井美貴


「阿夫利嶺」3月号

   紺碧を真幸く望む初丹沢      山本つぼみ

   雪原に半ば埋れし獣柵       小沢真弓


「俳句饗宴」20183(第757号)

   寒雀跳ねては吾をないがしろ     鈴木八洲彦

   凍る夜の戸袋きしむ目醒めては    伊藤胡風子


by masakokusa | 2018-03-31 22:43 | 受贈書誌より | Comments(0)
受贈書誌より感銘句(平成30年2月)                  草深昌子

貴重な御書誌をご恵贈賜り有難うございました。


f0118324_20062033.jpg

「星雲」201831

   冬晴や天へ放水檻の象     鳥井保和

   生きてゐる今が幸せ福寿草   竹内正與



「秋草」20183月号

   枝折つて年のはじめの音とする     山口昭男

   襖絵は青海原や初時雨         横内正人



「玉梓」平成30年3・4月号

   狐面つけて年越詣の子        名村早智子

   風少し容れてマフラー巻きなほす   横井澄子



「獅林」20183月号№966

   一病に弄ばれて春寒し      的場秀恭

   初夢の乗換駅にひとり佇つ    あめ・みちを


「雲取」№246 20183月号

   白猫を丸く描きし初暦         鈴木太郎

   返り花紅し五葉の松の下        下條杜志子

   国を出ずこの地球(ほし)を出ず初笑  鈴木多江子


「八千草」季刊俳句誌 平成30年如月

   昨日より尖る阿夫利嶺人恋し      山元志津香

   数式のするする解けそう夜の秋     横山博行


「都市」都市10周年記念号 平成302

   一振りの太刀を受け取り舞始め   中西夕紀

   幼くて肩そびやかす寒烏      中西夕紀

   風花や旧街道は石敷かれ      中西夕紀

   馬鈴薯の花や下校の子は歌ひ    三森 梢

   小春日や分岐点ある切通      岩原真咲


「詩あきんど」HAIKAI其角研究 第30号 平成302月号

   何もなく夫婦なりけりお元日     二上貴夫

   爾今なしと思へばけふの秋の富士   竹村半掃



句集『かはほり』橋本石火 文學の森 平成25年4月


    伸びるだけ伸びて糸瓜の曲りをり

    帰省子のすぐゐなくなる畳かな

    尼寺に遊ぶ子のゐて梅もどき

    学業をおろそかにして着ぶくれて

    かはほりのゆふべあやしきわらべ唄


句集『蛍川』加山紀夫  角川書店 平成30年1月刊行


   走る子の桜の中に浮いてをり

   松手入海に日陰のなかりけり

   蛍川昼は山鳩鳴いてをり

   電線に雪の積もれり裕明忌

   縄掛けて荒ぶる神へ新豆腐




f0118324_10453076.jpg

「松の花」平成302月号

   枯芝をまつすぐに来る傘ひとつ    松尾隆信

   大潮に遠のく烏帽子冬隣       横山節子


「里」二千十八年2月号№179

   夕日にはまだ白けれど冬の暮   島田牙城

   元日の暮るるを言へり齢人    中村与謝男

   

「阿夫利嶺」平成302月号№251

   黒檀に置く冬の壺誕生日      山本つぼみ

   風花や誰を待つともなく昏れぬ   小沢真弓


「俳句饗宴」2018・2(第756号)

   竹伐つて竹割つて扨て年用意   鈴木八洲彦

   やあと友寄り来手袋脱ぎながら  末永隆雄


『岸本尚毅集』自註現代俳句シリーズ・1227 


   金網に吹きつけらるる野菊かな  句集『鶏頭』

   手をつけて海のつめたき桜かな  句集『舜』


   淋しさはわが子と遊ぶ春の暮   句集『健啖』

   健啖のせつなき子規の忌なりけり  〃

   また一つ風の中より除夜の鐘    〃


   雨だれの向うは雨や蟻地獄    句集『感謝』

   ゆるやかに光陰夏を離れけり     〃

   ある年の子規忌の雨に虚子の立つ   〃

   さういへば吉良の茶会の日なりけり  〃


   眼のまはり鱗大きく穴惑     句集『小』

   蟻楽し蟻の頭を蟻が踏み       〃

   熱燗の愛嬌はあり風情なく      〃

      愛嬌はあるが風情はない。風情はないが愛嬌はある。

      そんな店。そんな人。そんなひととき。 


f0118324_22364712.jpg

『武藤紀子』シリーズ自句自解Ⅱベスト100


   山かけて赤松つづく円座かな   句集『円座』

   住吉の松の下こそ涼しけれ    句集『朱夏』

   完璧な椿生きてゐてよかつた   句集『百千鳥』

   富士山の雪の色して志      句集『冬干潟』

   梛の葉に来てしばらくを冬の蠅     〃

   たましひをしづかに濡らす緑雨かな   〃

   またも来むあふちの花の咲く頃に    〃

      第四句集『冬干潟』の最後に置いた句。この句集ではさまざまな俳句の作り方に挑戦してきたが、

      やはり私は吟行で写生して句を作るんだなあとしみじみ思った句。



「晶」季刊俳句同人誌№2
   枯野原単線列車眠くなり               長嶺千晶
   きちきちを隠せる草のやはらかき     嶋澤眞理


「朴の花」第102

   これよりは鳥獣保護区鳥兜      長島衣伊子

   地下鉄に乗り込んでくる大熊手    矢島康吉


「秋草」20182月号

   昼どきの土間のしめりや石蕗の花     山口昭男

   削られしモツアレラチーズ冬の鳥     常原 拓


「らん」№80 らん創刊80号記念

   『らん』は「蘭」「乱」「嵐」なり楽しまん     鳴戸奈菜

   立ち話をんなはマスク外さずに           嵯峨根鈴子


「獅林」20182月号№965

   路ゆづり合うて躓く花野かな     的場秀恭

   お後がよろしいやうです二月尽    岩佐世紀子


「雲取」20182月号№245

   ともづなを曳けよ掲げよ初山河       鈴木太郎

   万灯の湧いて上つて本門寺         下條杜志子


by masakokusa | 2018-03-03 23:33 | 受贈書誌より | Comments(0)
受贈書誌より感銘句 (平成30年1月)         草深昌子


 貴重な御誌をご恵送賜り有難うございました。


f0118324_10103801.jpg


「ににん」2018年冬号№69

   坩堝から坩堝に移す葉鶏頭     岩淵喜代子

   小春日や柱の影に女の子      川村研治


「ハンザキ」20181月号№29

   もう捨つる気になつてゐる古暦      橋本石火

   落ちさうで落ちぬカリンの実が幹に    神戸道子


「ランブル」20181月号№239 創刊20周年

   着ぶくれて嫌ひが好きになることも     上田日差子

   爽やかや風に奥行ある故郷         森 孝枝


「絵硝子」20181月号 22周年記念号

   初明り目指すべき道しかと見え      和田順子

   雪虫を連れて杜氏の来たりけり      平野暢行


「俳句饗宴」20181月号(第755号)

   はじめての雪へ受話器を向けて妻      鈴木八洲彦

   卒寿とは喜ぶべきか実南天         小岩よし子


「年輪」20181月号(733号)

   鶏二忌の雨にまんさく二度咲きす      坂口緑志

   火山列島一岳火噴き鷹渡る         駒木逸歩


「星雲」20181月号第41

   初鴨や一の鳥居は海に立つ        鳥井保和

   背伸びして子の背を計る良夜かな     天倉 都


「梓」2018・1第29

   皿に鮭壁に高橋由一の鮭        上野一孝

   健次忌の海暮るるまで泳ぐなり     堀本裕樹


「はるもにあ」20181月号第66

   噛みしめてアイヌ語といふ柳葉魚かな     満田春日

   寒かろう皇帝ダリアのその高さ        松山ひろし


「里」20181月号№178

   荒巻の箱紙ごみとして縛る      島田牙城

   冬菜畑三つならびに建つ住宅     上田信治


「秋草」20181月号

   綿虫の中へ入つてゆく体       山口昭男

   北斎の波のうらがは秋寂びぬ     三輪小春


「舞」平成30年新年特別号№85

   豊かなる父の欠伸や初湯殿        山西雅子

   はるばる台風めがけて集まって無口    小川楓子


「玉梓」12月号

   初時雨しばらく人の途絶えけり      名村早智子

   船形の火を押す風や東より        松澤美智枝


「燦」2017年11・12月号

   朝寒し星々いまだ夜を続け      山内利男

   踊子となりて見上ぐる指の先     後藤一郎


「パピルス」創刊号20181月(春号)

   吾亦紅一誌を興すこころざし      坂本宮尾

   小机の月のひかりに手をのせる     栗島 弘


「鳳」23

   やうやうに灯りに馴染み初暦     浅井陽子

   縄張りの中に我が家も冬の鵙     田和三生子


「大楠」20周年記念特別号 1月号

   二十周年迎ふる初日受けにけり     川崎慶子

   せせらぎの八瀬の里かな冬うらら    小坂保瑞


「阿夫利嶺」1月号

   ことごとく絵馬濡れ根津に深む秋      山本つぼみ

   そぞろ寒起居に触るるものなべて      小沢真弓


「松の花」1月号

   色変へぬ松の真鶴岬かな       松尾隆信

   行く秋や松葉一本づつに雨      横山節子


「獅林」20181月号№964

   冬めくやどこでも停まる過疎のバス     的場秀恭

   ゆりかもめ大河にはある中之島       森一心


季刊俳句同人誌「晶」SHOU №22

   箱書を後生大事と後の雛     長嶺千晶

   羅や月の色して畳まれぬ     嶋澤眞理

   

   

   

   


by masakokusa | 2018-02-04 09:47 | 受贈書誌より | Comments(0)