カテゴリ:受贈書誌より( 18 )
受贈書誌より感銘句(令和元年5月)    草深昌子抄出


「獅林」(主宰 的場秀恭)№981

   見えてなほ遙けし道や陽炎へる      的場秀恭

   ひとひらにはじまる落花きりのなく   東 徹


「雲取」(主宰 鈴木太郎)№258

   土筆食ひ平成の世のあと十日      鈴木太郎

   今生の終章にして土筆煮る       下條杜志子


「八千草」(主宰 山本志津香)№90

   貌鳥に遺文の束をあづけよか     山本志津香

   冬館ラブラドールの名はピアノ    横川博行




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句集『和顔』矢野景一

   星一つ足りぬと梟鳴きにけり

   彗星の尾の涼しさの山住まひ

   蛍見にゆかむと白き髪洗ふ

   呼んだかと妻の問ひ来る夜長かな

   とり分けて箸もその香の桜餅

   

「棒」(代表 青山丈)№3

   天井を見てゐる春の昼ごろは       大崎紀夫

   いま巴里にアイスクリーム二段盛り    西池冬扇


句集『にんげんに』 竹村半掃

   うらうらや縄文人の耳飾り

   にんげんにすればいいやつ蝸牛

   九月来るスクランブルの交差点

   蒸し芋を頬張る朝や外は雨

   大山の風湧くごとく初鳶



「ランブル」(主宰 上田日差子)№255

   行く雲と同じ色なる春帽子      上田日差子

   店蔵の梁をあらはに雛飾る      芦立多美子


「朴の花」(主宰 長島衣伊子)№106

   綿虫の夕日の綿を鎧ひけり     長島衣伊子

   煮魚の大きな目玉初しぐれ     八木次郎


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「はるもにあ」(主宰 満田春日)№74

   沈丁花植物園を出て匂ふ       満田春日

   二つ三つ重ねてかろき絵凧かな    山口蜜柑


「松の花」(主宰 松尾隆信)№257

   日脚伸ぶ机上の小さき窓に富士     松尾隆信

   目刺焼く二連八尾や二人なり      岸 さなえ


「詩あきんど」(主宰 二上貴夫)№35

   風吹かぬ焼芋日和でありにけり    二上貴夫

   父の忌や空を真青に山眠る      佐野典比古


「俳句の風」(代表 西池冬扇)№26

   鳥の声やみたる午後の夏木立     白石正躬

   降り出して値の折り合へる植木市   椎名 彰


「大阪俳人クラブ」(会長 茨木和生)№161

   山霊に石を供へて春祭         木塚真人

   席詰めて呼び入れらるる日向ぼこ    尾崎晶子

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「里」(代表 島田牙城)№190

   裸木の幹をさするはさびしいか      島田牙城

   遠ければ霞みて冬のうららかに      堀下 翔

   

「星雲」(主宰 鳥井保和)№49

   寒鯉の錦の美しき底ひかな      鳥井保和

   面頬をとれば湯気立つ寒稽古     澤 禎宣


「阿夫利嶺」(主宰 山本つぼみ)№266

   畳紙にたたみこみたる花疲れ     山本つぼみ

   繁盛の列や栄螺を焼く匂       吉里良夫


「晶」(代表 長嶺千晶)№28

   読初やデッキチエアーに海展け     長嶺千晶

   飛び石をそろそろ渡り柳の芽      金崎雅野


「ハンザキ」(主宰 橋本石火)№45

   剪定の跡あらはなる枝垂梅    橋本石火

   トンネルの小さき出口春日差   河本裕子


「鳳」(主宰 浅井陽子)№29

   小袱紗を畳に拡ぐ余寒かな        浅井陽子

   破れざるままに障子の黄ばみけり     貞許泰治


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『名村早智子集』自註現代俳句シリーズ

    浮御堂七夕竹の流れ着く

    この声は罠に掛かりし鹿のこゑ

    足が出て手が出て蝌蚪に別れの日

    表情を決めかねてゐる祭姫

    夫に来る手紙少なし金魚玉

   

「玉梓」(主宰 名村早智子)№81

   白木蓮の全部の花が咲いてゐる      名村早智子

   生き生きと生きるひとりや実千両     藤野美奈子


「獅林」(主宰 的場秀恭)№980

   盆梅や追伸をまた書き足して     的場秀恭

   さびしらの空に道あり鳥雲に     あめ・みちを


「秋草」(主宰 山口昭男)№113

   まんさくにゴム手袋の男かな     山口昭男

   蒲公英や踏切ひらくとき静か     水上ゆめ


by masakokusa | 2019-05-18 13:38 | 受贈書誌より | Comments(0)
受贈書誌より感銘句(平成31年4月) 草深昌子抄出

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「ランブル」(主宰 上田日差子)№254

   聞耳をたててゐるかの蝶の翅     上田日差子

   風花や御前崎ここ父が里       田中純子


「都市」(主宰 中西夕紀)№68

   板を切る押さへに子供下萌ゆる     中西夕紀

   銀杏散るしづかに空を見上ぐる日    大木満里


「松の花」(主宰 松尾隆信)№256

   糸電話障子に影のありにけり     松尾隆信

   宵ながら眉うすうすと初湯かな    櫻井波穂


「里」(主宰 島田牙城)№188

   ほのぼのと松風ありぬ葉月潮     堀下翔

   席空けて座る電車や豊の秋      上田信治


「梓」(主宰 上野一孝)№34

   色変へぬ松や龍太のなき山廬     上野一孝

   蟹歩き継ぎあるきつぎ蟹に逢ふ    堀本裕樹



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「ににん」(代表 岩淵喜代子)№74

   一湾の今日はしろがね仏生会     岩淵喜代子

   仕舞屋の四角行灯春の雪       辻村麻乃

   

「阿夫利嶺」(主宰 山本つぼみ)№265

   丸揚といふもをさなき蕗の薹     山本つぼみ

   子等去りてひと日の長し春炬燵    古橋芝香


「秋草」(主宰 山口昭男)№112

   立春や水を散らかす河馬の耳     山口昭男

   縁側の日ざし頼もし二日灸      丸山せんかう


「俳句饗宴」(主宰 鈴木八洲彦)№768

   曾良の碑とへだつるところ福寿草       鈴木八洲彦

   いそぎんちやくに指ぬかれたるここちして   當麻さとこ  



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「獅林」(主宰 的場秀恭)№979

   春夕焼このまま真つ直ぐ歩かうか      的場秀恭

   隙間風防ぐでもなく独り住む        山本 敦


「ハンザキ」(主宰 橋本石火)№44

   初燕叩いて落す靴の泥       橋本石火

   病棟に正月の風吹いてをり     石井 勲


by masakokusa | 2019-03-30 17:58 | 受贈書誌より | Comments(0)
受贈書誌より感銘句(平成31年3月)                  草深昌子抄出

『遠くの声』藤本夕衣第二句集(平成313月刊行ふらんす堂)

   掌にみづうみの水なつやすみ

   大陸を西へ西へと春の暮

   雪踏んで大事なことを聞きにけり

   芋虫の朝日の中にあらはれぬ

   野遊の遠くの声に呼ばれけり


「カバトまんだら通信」(代表 木割大雄)№41

   広場に裂けた木塩のまわりに塩軋み    赤尾兜子

   病む人に花の下より長電話        木割大雄


「静かな場所」(代表 対中いずみ)№22

   林檎赤し何たづねても首傾げ     満田春日

   水吸ひて新聞あをし花八手      森賀まり




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「なんぢや」(代表 榎本享)№44

   とりあへず岩に置く藻や池普請     榎本享

   風光るはなびらに糸通しては      西野文代


「雲取」(主宰 鈴木太郎)№257

   平成の世の鱗たつ桜鯛        鈴木太郎

   薺打つ日差しの窓を少し開け     下條杜志子


「群星」(代表 藤埜まさ志)№179

   常念岳や草田男句碑も雪冠り     藤埜まさ志

   水鳥の蕾解くかに目覚めけり     小林迪子

 

「ランブル」(主宰 上田日差子)№253

   前山に日の没るころを牡丹鍋      上田日差子

   湯豆腐や貶すより人讃むるべし     大庭星樹


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『奉る』荒井八雪第三句集

   凍てゆるみけり腹帯を貰ひ受け

   鉄臭き人手拾ふや白日傘

   威銃鳴るや野の宮まで遠し

   かまつかの色にふくらみ雨雫

   北塞ぐとげぬき様の札呑んで



『竿満月』吉江潤二 第一句集(平成312月刊行ふらんす堂)

   春鮒を竿満月に釣り上ぐる

   父の日の酒教頭になりし子と

   一徹に世話役十年秋気澄む

   日本オオカミ消えしままなる青嶺かな

   紅葉鮒顔立ち褒めて放しやる



「阿夫利嶺」(主宰 山本つぼみ)№264

   初凪や布哇も巴里も知らず老ゆ     山本つぼみ

   予後といふ日を賜りし福寿草      朝倉洋子



「星雲」(主宰 鳥井保和)№48

   一舟の水脈に嵐山しぐれかな     鳥井保和

   森閑と熊野百峰冬銀河        前田長徳   



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「ハンザキ」(主宰 橋本石火)№43

   冬ざれの大地にほろと鹿の糞     橋本石火

   制服の予約受付冬さうび       中田 凛



「玉梓」(主宰 名村早智子)№80

   日だまりのやうな母なり冬たんぽぽ     名村早智子

   綿虫を掬へば綿の潤みをり         黒田淑子



「棒」(代表 青山丈)№2

   芭蕉忌の茸を焼いてうす煙       青山丈

   鉄板に焼きそばの渦三の酉       柳生正名

   寺の玻璃うつつの冬をよく映す     水野晶子



「松の花」(主宰 松尾隆信)№255

   十二月遠くほのかに昼の富士      松尾隆信

   冬将軍踏切下りて来たりけり      森 よしこ



by masakokusa | 2019-03-27 12:14 | 受贈書誌より | Comments(0)
受贈書誌より感銘句(平成31年2月)                  草深昌子抽出

「獅林」(主宰 的場秀恭)№978

   たて横に揺れ宝恵籠の駆け抜けり     的場秀恭

   火を焚けば闇深くなる寒さかな      あめ・みちを



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「鳳」(主宰 浅井陽子)№28

   剣玉のこつんと雪の来りけり     浅井陽子

   発熱や雪の匂ひに目覚めたる     高階和音



「八千草」(主宰 山本志津香)№89

   蓑虫は十万億土見倦きしか     山本志津香

   穴惑いひと夜借りたる縁の下    横川博行



「秋草」(主宰 山口昭男)№111

   やうやくに冬至の道とわかりたる     山口昭男

   鍵穴の大つごもりの鍵を抜く       三輪小春


   

「俳句饗宴」(主宰 鈴木八洲彦)№767

   瑞厳寺さまの綿虫追はであり     鈴木八洲彦

   赤き実は赤を凝らして冬構      加藤ひさ子



「都市」(主宰 中西夕紀)№67

   穂芒や水速ければ魚を見ず       中西夕紀

   飛び込めば堀の西瓜の上下して     井出あやし


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「ランブル」(主宰 上田日差子)№252

   畝ますぐ一行となる霜の声     上田日差子

   花びらのごと朝露の零れけり    手柴由美子



「詩あきんど」(主宰 二上貴夫)№34

   平成を惜しみて雑煮椀啜る     二上貴夫

   八三歳寄り道ふぐり落しけり    矢崎硯水



「松の花」(主宰 松尾隆信)№254

   竹の春大き森へと続きけり      松尾隆信

   冬晴やめんこの縁をちよつと折る   松波美恵



「大阪俳人クラブ会報」№160

   小声には小声の返事ちちろの夜     松島圭伍

   すぐそこに冬の来てゐる鳥のこゑ    熊川暁子

   窓一つ拭けば家中小春かな       小林志乃

   茶の花の蕊の大きな日和かな      安田徳子  

   馬走れ走れと鵙の猛りけり       山口哲夫



『埴馬』田邉富子第二句集(角川書店)

   蝤蛑汁被爆の海の試し漁  

   初漁の船の時計を正しけり

   亀鳴くや流罪は冤罪かもしれず

   蛇穴に入りて湖輝ける

   産み終へし牛の長鳴き星月夜




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『青兎』柴田洋郎第一句集

   青春の折目を伸ばす曝書かな

   初蝶を野面の色に見失ふ

   分校にピアノが来るよ蝗飛ぶ

   この先は知らぬ道なり草の花

   期すること人に告げよと朝の鵙




「ハンザキ」(主宰 橋本石火)№42

   東西に道のびてゐる親鸞忌     橋本石火

   じぐざぐに下町を来て三の酉    高橋ちづる



「阿夫利嶺」(主宰 山本つぼみ)№263

   朔風を背にして歩む暇乞ひ      山本つぼみ

   阿弥陀三尊おはす大原杉時雨     横井法子


by masakokusa | 2019-02-02 23:30 | 受贈書誌より | Comments(0)
受贈書誌より感銘句 (平成31年1月)         草深昌子抄出

「晶」(代表 長嶺千晶)№27

   借景の比叡山より初しぐれ     長嶺千晶

   空澄みて上野の鳩はよく歩き    志村禮子



「秋草」(主宰 山口昭男)№110

   目の前を十一月の草の絮     山口昭男

   短日の裁ち鋏なら一息に     水上ゆめ



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「獅林」(的場秀恭)№977

   ひと玉を食べて始める蜜柑狩     的場秀恭

   虎伏して紅葉かつ散る古城かな    森 一心



「雲取」(鈴木太郎)№256

   をのこわれ挿頭としたる冬桜     鈴木太郎

   神の留守百会に鍼を打たれをる    下條杜志子



「ランブル」(主宰 上田日差子)№251

   俳句こそ一の自分史文化の日      上田日差子

   刈田もう風生む力なかりけり      久和原 賢



「はるもにあ」(主宰 満田春日)№72

   南瓜甘しさみしきことの多き世に      満田春日

   二百十日長靴に足捩ぢ込んで        山口蜜柑


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「梓」(主宰 上野一孝)№33

   蜩を聞き摂州の縁にをり      上野一孝

   み仏のかつて金色十三夜      高橋博夫



「ににん」(代表 岩淵喜代子)№73

   王様に束ねて大き花薄       岩淵喜代子

   妻留守の夕餉秋刀魚と決めてをり  宇陀草子



「朴の花」(主宰 長島衣伊子)№105

   舟虫や灯台までの甃         長島衣伊子

   刃物より強き南瓜と向き合ひぬ    里海 椿



「松の花」(主宰 松尾隆信)№253

   蛇笏忌の風鎮の房濃むらさき     松尾隆信

   雨粒の急に太りぬ山葡萄       あべみゑこ


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「秋草」(主宰 山口昭男)№109

   筵より菊人形を抱き起こす       山口昭男

   蔓草よ枯れて落ちざる葉をつけて    木村定生



「俳句饗宴」(主宰 鈴木八洲彦)№766

   お隣の犬に媚びられる老いの冬     鈴木八洲彦

   二句を捨て一句を拾ふ落葉道      加藤ひさ子



「舞」(主宰 山西雅子)№93 平成31年新年特別号

   枝歩む蓑虫よ蓑落とすなよ     山西雅子

   豊の秋小鮒煮つむる匂ひして    中村恭子



「ハンザキ」(主宰 橋本石火)№41

   牛市や牛のいばりも親鸞忌      橋本石火

   稲架解いて村中の人見えてきし    大河美智子


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「阿夫利嶺」(主宰 山本つぼみ)№262

   紅葉狩霊峰居丈高なる視野      山本つぼみ

   子を負ひし温さを遠く冬の月     小沢真弓

   

「星雲」(主宰 鳥井保和)№47

   行く秋の夕日大きく海に落つ     鳥井保和

   柿すだれ山襞下る甲斐の風      新井たか志

   

「獅林」(主宰 的場秀恭)№976

   ひよいと身を持ち上げて去る赤蜻蛉     的場秀恭

   白菊や母座りをり南向き          西浦 優


by masakokusa | 2019-02-01 13:06 | 受贈書誌より | Comments(0)
受贈書誌より感銘句(平成30年12月)                  草深昌子抄出


『森へ』宇多喜代子・第八句集(青磁社)

   永劫と瞬時をここに滝しぶき

   球形の大地に懲りて露の玉

   十二月八日のかたちアルマイト

   生きていること思い出す夏座敷

   蛇の手とおぼしきところよく動く

   天高し皇后誕生日なれば

    

   一句は、そして一冊は、時間と空間を自在に往還し、

   百年や二百年を一足で跨ぎ、星々を容易く掴み取る。

   森羅万象の躍動する森へ、いざ。



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「玉梓」(主宰 名村早智子)№79

   京にこの一山聳ゆ初比叡       名村早智子

   うちの子か裏の子かこの鉦叩     川田 節



『木霊』藤埜まさ志・第三句集(角川書店)

   薪能果てて北斗の大柄杓

   枯れきつて骨うつくしき欅かな

   千空を恋へば十一月の雪

   あぢさゐや十大弟子は頭寄せ

   蝉声の中のひぐらし草田男忌


 自然から人事に至るまでの熟成された洞察力とそれを一詩にもたらす活写力。

   木の精を噴きて大榾も終え始む

 単に木霊からの発想ではない。存在物の実相に見入っての至妙の一句。

 永らく「萬緑」の運営にも貢献してきた中村草田男門の代表作家である。

                                横澤放川 (帯文)  




「鳳」(主宰 浅井陽子)27

   白息をふはと広げて笑ひけり     浅井陽子

   ひとり来て崩れ簗見るひとりきり   森山久代




「ランブル」(主宰 上田日差子)№250

   雨粒にまぎるるほどの秋の蝶     上田日差子

   一粒の米の長さに日脚伸ぶ      久和原賢




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「なんぢゃ」(代表 榎本享)43

   芋虫と怠惰な午後を過ごしけり    榎本享

   立秋の庭木に触れて家に入る     太田うさぎ



「都市」(主宰 中西夕紀)№66

   葉の尖に潮のひかりや砂糖黍     中西夕紀

   夏霧の巌大きく見せににけり     秋澤夏斗



「松の花」(主宰 松尾隆信)№252

   雲ひと刷け二百十日の稜線に     松尾隆信

   天高し栗駒山は谷向ひ        佐藤公子



「群星」(代表 藤埜まさ志)178

    住吉大社観月祭

   朗々と献歌や月の太鼓橋     藤埜まさ志

   新米盛る使ひ込まれし一升枡   佐藤和子


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『語り継ぐいのちの俳句』

     311以降のまなざし        高野ムツオ


  俳句を詠むことが自分の存在証明だった。

  危機にあって言葉で生(せい)を、自己存在を確認していたのだ。 

  これは決して私一人ではない。

  多くの人たちが、俳句に生きる力を得ていた。

  現在ただ今もそうである。

  東日本大震災は、そうした俳句のあり方を私に教えてくれた。


     泥かぶるたびに角組み光る蘆     高野ムツオ



『分度器』井原美鳥・第一句集(文學の森)

   福藁や日は産土へ廻り来る

   漢字帳に母がいつぱい日脚伸ぶ

   行く秋の何せんとして手に輪ゴム

   大いなる分度器鳥の渡りかな

   けふの木の芽あすの木の芽と湧きにけり



「俳句饗宴」(主宰 鈴木八洲彦)№765

   冬の蠅いつぴきを追ふ仏間かな     鈴木八洲彦

   上弦の朝月仰ぐ野分晴         菊地ゆき子

 

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「ハンザキ」(主宰 橋本石火)№40

   墓の辺につどふえにしも素逝の忌      橋本石火

   硯舗に水草紅葉の流れかな         真田瑞枝



「秋草」(主宰 山口昭男)№108

   草籠に草のあふるる帰燕かな     山口昭男

   これ以上小さくなれぬ露の玉     桑山文子



「獅林」(主宰 的場秀恭)№975

   体内の水すぐ乾く残暑かな      的場秀恭

   どの子にも賞品のある運動会     新居純子


by masakokusa | 2018-12-10 15:37 | 受贈書誌より | Comments(0)
「澤」(主宰 小澤實)18周年記念号より ~ 俳句結社誌「青草」を読む


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「澤」平成30年7月号 通巻220号

      窓 俳句結社誌を読む          高橋博子





   「青草」第3号 2018年春季号


 

厚木市の生涯学習の「俳句入門講座」より発足した。

 草深昌子主宰は、〈「青草」の俳句は初めて俳句を作る喜びに端を発したものです。

 これからも飾らない私、子供の心を持った私の句でありたいと願っています〉と冒頭に記された。



   めいめいのことして一家爽やかに     草深昌子

   晴れがましすぎはしないか干蒲団      同


 一句目、ある日曜日。自分の勉強や趣味に一家それぞれ充実した時を過ごしておられる。

 背中に暖かい視線を感じながら干渉しないお互い。気持ちのよい清々しい風が吹き渡る。

 二句目、集合住宅のベランダの風景であろう。

 一家全員の蒲団がぎっしり干され午前の日を浴びている。

 夜には子供たちは陽光を含みふっくらとした蒲団にぐっすりと眠るのだろう。

 健康的な生活感は面映ゆいほど。「晴れがましすぎはしないか」の措辞が印象的。洒脱。




   青蜜柑太る力に揺れてをり     菊竹典祥


 青蜜柑のつやつやとした表皮。段々と実を太らせる様子は生命力豊かだ。

 風に揺れる蜜柑をまるでみりみりと実る力に揺れているようだと描かれた。

 実りを実感し喜んでいる。逞しい。



   独り居の指差し確認蚯蚓鳴く     古舘千世


 独り住まいでは、夜休む前、点検、戸締り、消灯と確認事項が多々あろう。

 ひとつひとつ指差し確認をされている。

「蚯蚓鳴く」は秋の夜、土の方からジーとしたような音が聴こえること。

 本当は螻蛄の声らしいがこれを発音器官のない蚯蚓の鳴き声としたのだ。

空想的なロマン溢れる季語により、現実生活を笑いとばし楽しんでおられる様子が伝わる。



   夕立の過ぎたるあとの匂ひかな     熊倉和茶


 夕立は夏の蒸し暑い午後、積乱雲が降らせる雨。急に大粒な雨が降り出す。

 すぐに雨は上がりその後すっかり涼しくなる。

 街では街路樹の木々、アスフアルト、建物が水に洗われ別世界のよう。

 山では木々や草が匂い立つ。雨が降る前と気配が一変する。その転換を語られた。



   尻振つて横々歩く鴉の子     石原虹子


 市街地では、鴉は疎まれる身近な鳥だ。だが親子の情愛深く番で子育てをするという。

 知能が高く社会性もある。

 鴉の子は大柄な割には声や仕草が幼く人懐っこい。

掲句では丸い尻を振って跳ねるように横歩きを繰り返す様を楽しげに描いた。臨場感溢れる。

親鳥も上空で見守っているのかもしれない。



   鱧さうめんせつかくやから竹の箸     柴田博祥


 鱧は六月下旬からの一ケ月あまりが旬とされ、関西で賞味される。

 鱧そうめんを検索してみた。鱧そうめんは鱧のすり身を心太状に突き出した物。

 鴨川の床や貴船の川床料理に出てくるという。ふむふむ、さっぱりと誠に美味しそうだ。

京言葉がはんなりと効果的。竹の箸を添え完璧に涼しそうだ。



   足首のまぶしきことよ夏落葉     川井さとみ


 少女たちは薄着となり、しなやかな足首が良く目立つ。

 溌剌とした若さがまぶしく映える。初夏、常緑樹は新しい葉ができると徐々に葉を落としてゆく。

夏落葉は秋の落葉と違い色鮮やかではないが、樹木の成長の証である。



   揚羽蝶ホースの水を潜りけり     新井芙美


 大形で色鮮やかな揚羽蝶。掲句は夏の日差しを受けホースの水を掻い潜っていく揚羽蝶を描かれた。

撒かれる水を潜り、身を翻し、しなやかに飛び抜けて行く揚羽蝶。日差しの中ホースの水はきらきらと輝く。



   ののののとこごみは芽吹く太古から     泉 いづ


 こごみはわらびやぜんまいと並ぶ春を告げる山菜。美味しく食べられる草蘇鉄の若芽だ

 形は平仮名の「の」の字状でユーモラスだ。化石の中にも存在したというシダ植物の仲間。

 太古から人の身近にあった植物なのだ。

掲句はまず、上五の「ののののと」の「の」の連続に目を奪われて楽しい。

さらに句中の半分をオ母音が占め軽やかだ。

内容豊かに目にも耳にも新鮮。覚えやすく、いつの間にか口遊んでしまう。

  


by masakokusa | 2018-11-29 00:42 | 受贈書誌より | Comments(0)
受贈書誌より感銘句(平成30年11月)                  草深昌子抄出

「棒」(代表 青山丈)201811創刊号

   呼ばはれし子の振り向いて子供の日     青山丈

   尺蠖が動いて影がうごめいて        大崎紀夫

   夏至の夜の空の裂け目の赤い星       西池冬扇



「八千草」(主宰 山元志津香)№88

   凭れ観る一樹の湿り夏神楽     山元志津香

   小判草そよぎ昼酒さめやらぬ    横山博行



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「雲取」(主宰 鈴木太郎)№255

   鶏頭に人をへだてる光かな     鈴木太郎

   存問の文を三通きりぎりす     下條杜志子



「唐変木」(代表 菊田一平)№17

   ストーブの火を細々と暦売     菊田一平

   よく晴れてテラスにソーダ水二つ  大和田アルミ



「詩あきんど」(主宰 二上貴夫)№33

   鰯雲あれは北方領土かな       二上貴夫

   昭和には草笛鳴らす兄のゐて     中澤柚果


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「ランブル」(主宰 上田日差子)№249

   子規の忌や走りの柿の大きこと     上田日差子

   桃の実や抱かるるための赤ん坊     川島ちえり



『俳句の水脈を求めて』平成に逝った俳人たち

              著者 角谷昌子(角川書店発行)


   昭和を生き、平成に逝った26俳人の作品と境涯。

   彼らはどのように俳句に向き合い、何を俳句に託したのか。

   そのひたむきで多様な生と、魂の表現としての俳句の水脈を探る。

    1 時代を拓いた俳人たち

飯島晴子・川崎展宏・藤田湘子・佐藤鬼房・永田耕衣・桂信子

三橋敏雄・森澄雄・飯田龍太ほか12

   Ⅱ 時代を映した俳人たち

    草間時彦・中村苑子・橋閒石・細見綾子・村越化石・鈴木真砂女

    摂津幸彦・田中裕明・金子兜太他14


 ―  飯島晴子は「水原秋桜子の意義」を著して秋桜子の陥穽を挙げ、俳句界におよぼした問題点を突くのである。高濱虚子が危惧したように、何の計らいもない高野素十と比較すると、俳句を作る以前に自分の理想に合わせた予定がある。予定があれば創作の限界があり、述べたい意図が俳句に表れてしまう。晴子はこの「述べる」という志向が秋桜子や人間探究派を通じて俳句界に蔓延し、俳句が停滞している元凶になったと指摘する。―


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「松の花」(主宰 松尾隆信)№251

   夕凪のひんがしひくく火星あり     松尾隆信

   波乱などなきかに米寿爽やかに     横山節子



「俳句饗宴」(主宰 鈴木八洲彦)№764

   舞殿のその真後ろの穴惑ひ     鈴木八洲彦

   手つかずの和綴じの冊子涼新た   菊地幸子



「鳳」(主宰 浅井陽子)26

   放牧の牛立ち上がる黍嵐        浅井陽子

   風渡るところが空よ滝仰ぐ       森山久代



「大阪俳人クラブ会報」(発行人 茨木和生)№

159

   追悼・鷲谷七菜子先生      瀬山一英


   滝となる前のしづけさ藤映す    鷲谷七菜子

   行き過ぎて胸の地蔵会明りかな

   水のあるところ靄たち近松忌

   ともしびを数へてあとは露の山

   道一つ村を出てゆく端午かな

   寒月のいつのぼりゐし高さかな



「阿夫利嶺」(主宰 山本つぼみ)№260

   秋渇き残生戸惑ふこと少な     山本つぼみ

   雁渡し鼻先ひかる鬼瓦       芝岡友衛



「星雲」(主宰 鳥井保和)第46

   浦祭路地の提灯肩に触る     鳥井保和

   目つぶりて長き睫毛や聖五月   小川望光子


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『潤』茨木和生第14句集(邑書林)

   片付けの後に酒出て地蔵盆     茨木和生

   山人の仰山な荷に山の芋

   蛇穴に入りて日和の続きたる

   雉の声棺の妻に聞かせけり

   妻と来しことのある野に青き踏む



「ハンザキ」(主宰 橋本石火)№39

   山霧や先行く人に追ひつけず     橋本石火

   曼珠沙華電車の椅子の向きを変ふ   中田 凛



「晶」(代表 長嶺千晶)№26

   単線ホーム蠅取草に花ひとつ     長嶺千晶

   亡きあとのこと子に伝へ盆用意    一柳はるみ



「玉梓」(主宰 名村早智子)通巻78

   蝉時雨陰も日向もなかりけり      名村早智子

   目をつむり筧に打たす汗の顔      八嶋昭男


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秋草」(主宰 山口昭男)№107

   にぎはしき人らかたまり秋の水      山口昭男

   台風や抱けば小さき犬となり       野名紅里



「獅林」(主宰 的場秀恭)№974

   電柱の芯まで届く油照          的場秀恭

   水ばかり飲んでおれるか熱中症      金子和子


by masakokusa | 2018-11-02 14:16 | 受贈書誌より | Comments(0)
受贈書誌より感銘句(平成30年10月)                  草深昌子抄出


『寒紅梅』山本洋子第七句集(角川俳句叢書)

   山道に潮鳴りをきく翁の忌      山本洋子

   おくれきし人のまとひし落花かな

   雛壇の端に眼鏡を置きにけり

   お祝を言ふ囀の木の下で

   木槿咲くところを家のうらといふ

   八朔や住吉に来て潮匂ふ



「雲取」(主宰 鈴木太郎)№254

   棉の桃囃してわれらただよへる      鈴木太郎

   八朔や真潮の島へ墓訪ひに        下條杜志子



「都市」(主宰 中西夕紀)通巻65

   演能もきのふとなりし蛾を掃けり     中西夕紀

   ころもがへ袖から風がぬけてゆく     城中 良



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「群星」(代表 藤埜まさ志)№177

   蝉声のなかのひぐらし草田男忌    藤埜まさ志

   急ぐ毛虫一本の毛も休むなく     博沼清子



「ランブル」(主宰 上田日差子)№248

   大花野仰ぐはちぎれ雲ばかり     上田日差子

   追はれても追はれても稲雀かな    大庭星樹



「朴の花」(主宰 長島衣伊子)第104

   平らかな岩の瀬音や鳳蝶      長島衣伊子

   乙女らに囲まれてゐる夏期講座   矢島康吉



「里」(主宰 島田牙城)№187

   秋爽の入江深きに白き浜       島田牙城

   大型テレビ動かすことも盆支度    仲寒蝉


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『「型」で学ぶはじめての俳句ドリル』岸本尚毅・夏井いつき


  はじめに      夏井いつき


 岸本尚毅さんは、私より数歳年下にもかかわらず、古今東西の俳句が立ちどころに出てくる恐るべき記憶力、

 評論・論評における鋭く深い分析力に舌を巻くばかり。

 作品は勿論のこと、彼が書いたものはとにかく手に入れて、読んで、己の勉強とすることを繰り返してきました。

 キシモト博士が俳句界をリードしてきたこの30年間、私自身は「俳句の種まき」運動を続けてきました。

俳句にちょっと興味を持ち始めているいる人たちを勝手に「チーム裾野」と名付け、コツコツ俳句の種をまき続けてきました。

 本書では、私は徹底して「チーム裾野」の代弁者となって、キシモト博士に疑問をぶつけました。

 キシモト博士との「講師問答」は、実に興味深く、学ぶって楽しい!を満喫した時間でした。



  この本の読み方・使い方   

 

 岸本尚毅

  ―俳句に精神論は無用。徹底的に「型」を学び、「発想法」を練習する


 おしまいに―

  キシモト博士が肝に銘じている三つのこと


 (平成30年9月10日初版第一刷発行  祥伝社





「松の花」(主宰 松尾隆信)250号記念号

   七月一日雨垂れへあるきだす     松尾隆信

   俎板に明石の章魚の足二本      渡辺絹江




「古志青年部作品集」2018  第七号 (石塚直子編集)

   ほのぼのと田舎の春やボーリング     西村麒麟

   我もまたいぶされてゐる蚊遣かな     辻奈央子



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「里」(代表 島田牙城)№18

   寝つかざる子を負ふ一人橋涼み      中村与謝男

   戦争で逝きたる人へ秋立ちぬ       島田牙城



「梓」(代表 上野一孝)第32

   凌霄花をりをり見てやもの書ける     上野一孝

   こころづく空にあをすぢあげはかな    堀本裕樹



「ににん」(代表 岩淵喜代子)№72

   流されてゆく形代の袖ひらく      岩淵喜代子

   霧を生み霧の模様の延暦寺       川村研治



 ふたり句集

 『守宮&燕の子』 えのもとゆみ・榎本享


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    おたまじゃくし既に蛙の目でありぬ    えのもとゆみ

   ころころと蜷のゐてまだ道のなし

   挿木する頭の中は釣りのこと

   ゑのころや火星左で土星右

   黒ずみしバナナ一本火恋し



   青虫が大きすぎるよ雀の子         榎本 享

   牡蠣の殻こする束子はそれぢやない

   目の前に偏平足の素足かな

   男厨房に天麩羅の藷つまむ

   おんぶしてもらへぬはうの飛蝗かな



 岸本の選にもとづいて編まれた句集。

 しかも「特選句」のみ。否応なく岸本の選が試される。

 爽波なら、裕明ならどんな句を採っただろうかと自問しても詮方ない。

 享さんと孝行嫁のゆみさんと、

岸本選の合計二名プラスαの俳力で出来た句集である。

どうか読んでください。 ―――岸本尚毅




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「ハンザキ」(主宰 橋本石火)№38

   滝壺の滝の余勢をなだめけり      橋本石火

   朝のパン真黒こげや初嵐        三谷史子



「秋草」(主宰 山口昭男)№106

   秋の蝶脚やはらかくからみあふ       山口昭男

   草むしる幹の向うへ手を回し        木村定生


   

「阿夫利嶺」(主宰 山本つぼみ)№259

   夭折の戦八月の海を悼む        山本つぼみ

   署名簿にハングル文字や広島夏     小沢真弓


by masakokusa | 2018-10-13 23:55 | 受贈書誌より | Comments(0)
受贈書誌より感銘句(平成30年9月)                  草深昌子抄出

句集『転生』甲斐よしあき・第二句集

   立春大吉百歳にあと二十日

   転生のわが少年へ草矢打つ

   万緑や巫女の袴に座り皴

   神代より集へば酒よ濃山吹

   新涼や異人の相の飛鳥仏



   

「獅林」(主宰 的場秀恭)№973

   出目金の日がな一と日や身を揺すり     的場秀恭

   大文字前田先生誕生日           森一心



「なんぢや」(代表 榎本享)№42

   木槿落つ朝寝の魚をおびやかし     西野文代

   眼の涼し言葉のきつぱりと涼し     榎本享


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「俳句饗宴」(主宰 鈴木八洲彦)№763

   沓脱ぎにひかる雨粒今朝の秋        鈴木八洲彦

   夏あざみ咲くよと見るやすぐ其処に     小岩よし子



「静かな場所」(代表 対中いずみ)№21

   円卓の蟻二周目に入りけり      対中いずみ

   転びたるとき冬空の白さかな     森賀まり



「雲取」(主宰 鈴木太郎)№253

   雨ついて親火に走る大文字      鈴木太郎

   森閑と山繭二つ夜の明ける      下條杜志子




『海紅豆』川崎慶子句集 第三句集(東京四季出版)

   狛江てふ町の狛犬風光る      川崎慶子

   北回帰線で降られて海紅豆

   夏燕一閃鉄砲伝来地

   島裏にまだ髭の無き浦島草

   はるか来し霧のロンドンやはり霧



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「ランブル」(主宰 上田日差子)№247

   水脱いで琥珀光りに神の蛇       上田日差子

   まぎれなき九十一歳更衣        小池照江




『初鏡』奥井志津 第二句集(文學の森)

   石蹴りの影も跳びたる遅日かな     奥井志津

   佳き死とは佳き生ならむ梅真白

   遠き子へ投函夜の鰯雲

   慶びの悲しびの皺初鏡

   けふ殊に己れの見ゆる寒さかな


   

「はるもにあ」(主宰 満田春日)№70

   卓袱台の脚を起こして芒種かな        満田春日

   汗のシャツ皮はぐやうに脱ぎにけり     番匠博雄


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「松の花」(主宰 松尾隆信)№249

     菅浦

   夏木立里入口の四足門       松尾隆信

   筍の高きに枝の開きけり      小山五十三




「木の中」(主宰 折井紀衣)№109

   古希じゅんじゅんと片陰をゆくやうに     折井紀衣

   蒲の穂に歩まば風の通るなり         寺田達雄



『水瓶』対中いずみ句集 ・ 第三句集(ふらんす堂)

   浅春の岸辺は龍の匂ひせる

   雨垂は壁にさはらず沈丁花

   半裂の手の握らるることのなく

   着信の青き光やみづすまし

   思ふより熱き兎を抱きにけり



「秋草」(主宰 山口昭男)№105

   国原の欹つ夏となりにけり        山口昭男

   手花火の明るさを褒め合ひにけり     野名紅里



「阿夫利嶺」(主宰 山本つぼみ)№258

   沖縄忌胸に食入る少女の詩      山本つぼみ

   滑空の態で飛魚揚げらるる      小沢真弓



「ハンザキ」(主宰 橋本石火)№37

   梅干して印鑑供養受付中       橋本石火  

   音もなく夫の忌がくる十三夜     松本貞子



「星雲」(主宰 鳥井保和)№45

   焼けるほど鮎美しき化粧塩      鳥井保和

   田水張り一際広き家郷かな      園部知宏



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「玉梓」(主宰 名村早智子)№77

   祭済むころには笛の名手かな      名村早智子

   立ち上ることが休憩草を引く      八嶋昭男



「晨」(代表 山本洋子)第207

   鶯の去なんとすれば啼きつのり      山本洋子

   萱草の花に田水のあふれけり       中村雅樹

   濁流が樹々の間に見え合歓の花      茨木和生

   遥かまで小川一筋涼しけれ        田島和生

   一燭の涼しさにゐる忌日かな       ながさく清江

   不機嫌な虚子を涼しと思ひけり      中杉隆世

   桑の実を手に改札を通りけり       浅井陽子

   吊り余る玉葱は土間湿りかな       岩城久治

   その中のぐいぐいのぼりゆく蛍      辻惠美子

   水無月の夕べは白き石舞台        山中多美子    


by masakokusa | 2018-09-30 23:19 | 受贈書誌より | Comments(0)