カテゴリ:昌子作品抄( 63 )
「俳句&あるふあ」・2019春号

「俳句&あるふあ」春号・新作7句


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  漱石          草深昌子


                       

            くさふか・まさこ

                  昭和18年(1943)大阪府生まれ

           「青草」主宰 「晨」同人

            句集『青葡萄』『邂逅』『金剛』



   漱石の顔の四角や梅探る

   寒林やさつき鵯いま鴉

   毛皮着て空のきれいな日なりけり

   磐座をそびらに日向ぼこりかな

   しやぼん玉地べたに下りて弾けざる

   雪降るや一つ部屋めく一車輌

   雪の解けぐあひを隣近所かな


 

漱石山房記念館に立ち寄った。

菫程な小さき人に生れたし 漱石

若き日の漱石は、同年の親友正岡子規に俳句の批評を求め、作句に熱中していた。 

子規没後、「吾輩ハ猫デアル」をデビュー作に、渾身の名作を次々と世に送り出したのは、十一年という短い歳月のことであった。

ブックカフエで出された珈琲の紙コップには、猫が描かれている。夏目家の猫は長生きである。


by masakokusa | 2019-03-31 23:02 | 昌子作品抄 | Comments(0)
特別作品 ・ 草深昌子


読初           

            草深昌子


赤門に会うて青邨忌なりけり

    膝ついて笹に分け入る落葉掻   

    熱燗や豊洲市場のはづれなる

    魚偏のどれがどの魚燗熱う

    せきれいのひらひらゆける冬の川

    いちどきに木の葉散つたるあとを蝶

    大根干す小学校の庭つづき

    観音をあふぐならひの年忘

    一瀑に落葉の径は了はりけり

    読初の大峯あきら百句かな

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  正月七日、ジムには、琴の音色が終始めでたく流れていた。

思えば、去年の一月三十日、このジムの高階に仰ぎ見たのはあまりにも美しい寒の満月であった。

人の眼差しにも似た皎々たる明るさに、思わず南無阿弥陀仏と声に出てしまったのだった。

大峯あきら先生の訃がもたらされたのはその夜のこと。

早一年・・・虚無感のまま打ち過ぎてしまった。

今年は、心して大峯あきら句集を読みたいと願っている。



(平成31年3月号「晨」所収)


by masakokusa | 2019-03-31 22:31 | 昌子作品抄 | Comments(0)
WEP俳句年鑑2019

   

  WEP俳句年鑑 〔2019〕   

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   主宰「青草」

   草深昌子 (くさふかまさこ)


   

   雲去れば雲来る望の夜なりけり

   朽木とも枯木ともなく巨いなる

   踏青のいつしか野毛といふあたり

   若葉して戸毎にちがふ壁の色

   行春のこけし寝かせて売られけり

   前に川うしろに線路かしは餅

   鮎食うて相模も西に住み古りぬ




(ウエップ俳句年鑑 2019年版 2019年1月31日発売 所収)


by masakokusa | 2019-02-05 16:02 | 昌子作品抄 | Comments(0)
ことばの翼・詩歌句 新俳句年鑑 2019




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   草深昌子       「青草」主宰・「晨」



   永き日の丸太担いで来たりけり

   今し行く小倉遊亀かも白日傘

   夏鴨の鳴いて日中を飛びにけり

   木斛の花散るまるで雨のやう

   残暑なほ雲にたんこぶ出でにけり

   晴れがましすぎはしないか干蒲団




 くさふか・まさこ

 昭和18年、大阪府生まれ。

 平成29年「青草」創刊・主宰。

 著作に『青葡萄』『邂逅』『金剛』がある。


by masakokusa | 2019-02-02 18:17 | 昌子作品抄 | Comments(0)
俳句手帳
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 俳句手帳  2019年



    晴れがましすぎはしないか干蒲団       草深昌子



  (北溟社 俳句手帳所収)

by masakokusa | 2018-11-30 23:59 | 昌子作品抄 | Comments(0)
『WEP俳句通信』 VOL・ウエップ俳句通信105号

  【3人競詠20句】




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      白          草深昌子


             

   若葉して戸毎に違ふ壁の色   

   今し行く小倉遊亀かも白日傘

   浜あれば崖ある南風吹きにけり 

   薔薇守の鎌の大いに曲りたる 

   毛虫を見馬追を見る極楽寺

   芒種けふ路傍の草の丈高く

   梅雨さ中まれに蝶々屋根を越え

   わら屋根の藁のすさびのほととぎす

   絨毯を部屋に廊下にさみだるる

   白雲のよく飛ぶところ通し鴨

   梅雨に咲く花の色かやこつてりと

   小諸なる古城のほとりサングラス

   どれどれと寄れば目高の目の真白

   蛇の衣脱ぐや高濱虚子の前

   大木のそよぎもあらぬうすごろも

   帰省子のそつくりかへる畳かな

   なにがなし触つて枇杷の土用の芽

   釣堀やひもすがらなる風の音

   落し文解きどころのなかりけり

   ひるがほの咲いてこの橋覚えある




   草深昌子

   くさふか・まさこ

   昭和18年(1943)2月17日・

   大阪府生まれ 

   飯田龍太・原裕・大峯あきらに師事

   「青草」主宰・「晨」同人

   句集に『青葡萄』『邂逅』『金剛』など





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(2018年8月14日発行 『ウエップ俳句通信』所収)



by masakokusa | 2018-09-01 21:49 | 昌子作品抄 | Comments(0)
昌子作品抄・角川『俳句』平成29年9月号


  俳人スポットライト


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     熊本              草深昌子



  明易き熊本城の崩れやう


  人の立つやうに木の立つ安居かな


  夏鴨の鳴いて日中を飛びにけり


  梅雨茸の脂のやうなるもの吐ける


  開きては閉ぢては扇ものしづか


  白南風や城をかためて樟大樹


  たてがみといふも馬刺しの米焼酎




昨年11月、第三句集『金剛』を発刊し、今年2月に、結社誌「青草」創刊の運びとなりました。

俳句を始めた頃に、〈どの子にも涼しく風の吹く日かな  飯田龍太〉に出会い、

 40年経って、〈涼風のとめどもなくて淋しけれ  大峯あきら〉に出会いました。

 尊敬する師をもつ幸せ、俳句連衆の皆さまに鍛えていただける幸せを今さらに噛みしめています。






by masakokusa | 2018-05-02 23:59 | 昌子作品抄 | Comments(0)
俳句四季 2018年1月号

作品十六句

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くさびら       草深昌子


   秋晴の大きな松の影にゐる

   桟橋といふほどもなき野菊かな

   月明の魚の背びれの出て泳ぐ

   銀杏のにほひに猿の綱渡り     

   秋晴を泣いて赤子の赤くなる

   団栗の袴脱いだり脱がなんだり

   秋の蠅輪ゴム跨いで来たりけり

   秋風にいちいち鯉は口ひらく

   説法の跡はここらの秋の蜂

   一行にはぐれやすくて草虱

   秋雨の林の径を深くしぬ

   古町や橋がここにも蚯蚓鳴く

   くさびらのべつたりとして根方なる

   草の実に立たせたる子のもの言はず

   にほどりの目のあさましき冬隣  

   屋根に鳩廂に鳩や秋出水



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(俳句四季出版「俳句四季」1月号所収)


by masakokusa | 2018-01-31 23:50 | 昌子作品抄 | Comments(0)
新俳句年鑑2018  (ことばの翼 詩歌句)

 

 

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 草深昌子    晨・青草(主)



    夏鴨の鳴いて日中を飛びにけり


    木斛の花散るまるで雨のやう


    鮎食うて相模も西に住み古りぬ


    晩涼や八幡さまに池二つ


    秋晴を泣いて赤子の赤くなる


    潮風に飛ぶ大根を蒔きにけり




 草深昌子(くさふか まさこ)

 昭和18年、大阪府生まれ。

 鹿火屋新人賞・鹿火屋奨励賞を受賞。

 著作に『青葡萄』「邂逅」『金剛』がある。


by masakokusa | 2018-01-31 23:28 | 昌子作品抄 | Comments(0)
私の一句
 
  花散るや何遍見ても蔵王堂       草深昌子


 「
晨」に入って初めて吉野吟行に参加させていただいた折の句。
 「俳句は自我を出したらアカンよ」と大峯あきら先生に教えていただいたのもこの日。
 ふと不思議を覚えた、その穏やかな物言いは、今もはっきり耳に残っている。

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(「晨」創刊200号記念特集・所収)
by masakokusa | 2017-08-01 23:59 | 昌子作品抄 | Comments(0)