邂逅のハンカチーフをかがやかす 草深昌子
岸本尚毅氏が『邂逅』の栞文に「表現に抑えの効いた」事を特筆されておられるが、掲句は思いの丈を表現されていて楽しい。純白の「ハンカチーフ」が輝くかの様に「邂逅」の喜びを手放しに活写された。俳句が沈黙の文芸であることをご承知の上での作品である。思いがけない出会いが、念願の第二句集となり、原裕先生の永訣の悲しみを乗り越えて、自分らしさが集結された事を心より祝福したい。
(句集『邂逅』平成15年刊)
(2004年7月1日発行 三田きえ子主宰「萌」2004年7月号 p24 所収)
(2006年1月17日初刊 平沢陽子著・エッセイ集『月は東に』所収)