「WEP俳句通信」127号(令和4年4月)          草深昌子・作品16句


   竹の秋風              草深昌子


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   髭のちよとうぐひす餅にありさうな

   木々高く藪の大きく氷かな

   蛭子てふ社のあはれ日向ぼこ   

   辞書入れて巾着提げて梅ひらく 

   料峭や桶の一つが石の上 


   春日傘そこを行くかに丘を行く

   鳥の恋はじまる崖のそそりたつ 

   てらてらと磐石にして寝釈迦なる 

   張り替ふる気のなき障子一の午  

   雪解けて石に穴また幹に穴    


   その道は石に尽きたり蜷一つ 

   親指の腹もてさぐる種袋

   耕人のフアッションモデル風であり

   雨垂れの向かうは春の障子かな

   寝坊して菱形餅をいただきぬ

   はねつるべ竹の秋風あたりけり



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   くさふか・まさこ

   昭和18年2月17日・大阪府生まれ

   飯田龍太・原裕・大峯あきらに師事

   平成29年「青草」創刊主宰・「晨」同人

   句集に『青葡萄』『邂逅』『金剛』


by masakokusa | 2022-04-21 22:20 | 昌子俳句抄
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