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『森へ』宇多喜代子・第八句集(青磁社)
永劫と瞬時をここに滝しぶき
球形の大地に懲りて露の玉
十二月八日のかたちアルマイト
生きていること思い出す夏座敷
蛇の手とおぼしきところよく動く
天高し皇后誕生日なれば
一句は、そして一冊は、時間と空間を自在に往還し、
百年や二百年を一足で跨ぎ、星々を容易く掴み取る。
森羅万象の躍動する森へ、いざ。
「玉梓」(主宰 名村早智子)№79
京にこの一山聳ゆ初比叡 名村早智子
うちの子か裏の子かこの鉦叩 川田 節
『木霊』藤埜まさ志・第三句集(角川書店)
薪能果てて北斗の大柄杓
枯れきつて骨うつくしき欅かな
千空を恋へば十一月の雪
あぢさゐや十大弟子は頭寄せ
蝉声の中のひぐらし草田男忌
自然から人事に至るまでの熟成された洞察力とそれを一詩にもたらす活写力。
木の精を噴きて大榾も終え始む
単に木霊からの発想ではない。存在物の実相に見入っての至妙の一句。
永らく「萬緑」の運営にも貢献してきた中村草田男門の代表作家である。
横澤放川 (帯文)
「鳳」(主宰 浅井陽子)27号
白息をふはと広げて笑ひけり 浅井陽子
ひとり来て崩れ簗見るひとりきり 森山久代
「ランブル」(主宰 上田日差子)№250
雨粒にまぎるるほどの秋の蝶 上田日差子
一粒の米の長さに日脚伸ぶ 久和原賢
「なんぢゃ」(代表 榎本享)43号
芋虫と怠惰な午後を過ごしけり 榎本享
立秋の庭木に触れて家に入る 太田うさぎ
「都市」(主宰 中西夕紀)№66
葉の尖に潮のひかりや砂糖黍 中西夕紀
夏霧の巌大きく見せににけり 秋澤夏斗
「松の花」(主宰 松尾隆信)№252
雲ひと刷け二百十日の稜線に 松尾隆信
天高し栗駒山は谷向ひ 佐藤公子
「群星」(代表 藤埜まさ志)178号
住吉大社観月祭
朗々と献歌や月の太鼓橋 藤埜まさ志
新米盛る使ひ込まれし一升枡 佐藤和子
『語り継ぐいのちの俳句』
3・11以降のまなざし 高野ムツオ
俳句を詠むことが自分の存在証明だった。
危機にあって言葉で生(せい)を、自己存在を確認していたのだ。
これは決して私一人ではない。
多くの人たちが、俳句に生きる力を得ていた。
現在ただ今もそうである。
東日本大震災は、そうした俳句のあり方を私に教えてくれた。
泥かぶるたびに角組み光る蘆 高野ムツオ
『分度器』井原美鳥・第一句集(文學の森)
福藁や日は産土へ廻り来る
漢字帳に母がいつぱい日脚伸ぶ
行く秋の何せんとして手に輪ゴム
大いなる分度器鳥の渡りかな
けふの木の芽あすの木の芽と湧きにけり
「俳句饗宴」(主宰 鈴木八洲彦)№765
冬の蠅いつぴきを追ふ仏間かな 鈴木八洲彦
上弦の朝月仰ぐ野分晴 菊地ゆき子
「ハンザキ」(主宰 橋本石火)№40
墓の辺につどふえにしも素逝の忌 橋本石火
硯舗に水草紅葉の流れかな 真田瑞枝
「秋草」(主宰 山口昭男)№108
草籠に草のあふるる帰燕かな 山口昭男
これ以上小さくなれぬ露の玉 桑山文子
「獅林」(主宰 的場秀恭)№975
体内の水すぐ乾く残暑かな 的場秀恭
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