受贈書誌より感銘句(平成30年11月)                  草深昌子抄出

「棒」(代表 青山丈)201811創刊号

   呼ばはれし子の振り向いて子供の日     青山丈

   尺蠖が動いて影がうごめいて        大崎紀夫

   夏至の夜の空の裂け目の赤い星       西池冬扇



「八千草」(主宰 山元志津香)№88

   凭れ観る一樹の湿り夏神楽     山元志津香

   小判草そよぎ昼酒さめやらぬ    横山博行



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「雲取」(主宰 鈴木太郎)№255

   鶏頭に人をへだてる光かな     鈴木太郎

   存問の文を三通きりぎりす     下條杜志子



「唐変木」(代表 菊田一平)№17

   ストーブの火を細々と暦売     菊田一平

   よく晴れてテラスにソーダ水二つ  大和田アルミ



「詩あきんど」(主宰 二上貴夫)№33

   鰯雲あれは北方領土かな       二上貴夫

   昭和には草笛鳴らす兄のゐて     中澤柚果


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「ランブル」(主宰 上田日差子)№249

   子規の忌や走りの柿の大きこと     上田日差子

   桃の実や抱かるるための赤ん坊     川島ちえり



『俳句の水脈を求めて』平成に逝った俳人たち

              著者 角谷昌子(角川書店発行)


   昭和を生き、平成に逝った26俳人の作品と境涯。

   彼らはどのように俳句に向き合い、何を俳句に託したのか。

   そのひたむきで多様な生と、魂の表現としての俳句の水脈を探る。

    1 時代を拓いた俳人たち

飯島晴子・川崎展宏・藤田湘子・佐藤鬼房・永田耕衣・桂信子

三橋敏雄・森澄雄・飯田龍太ほか12

   Ⅱ 時代を映した俳人たち

    草間時彦・中村苑子・橋閒石・細見綾子・村越化石・鈴木真砂女

    摂津幸彦・田中裕明・金子兜太他14


 ―  飯島晴子は「水原秋桜子の意義」を著して秋桜子の陥穽を挙げ、俳句界におよぼした問題点を突くのである。高濱虚子が危惧したように、何の計らいもない高野素十と比較すると、俳句を作る以前に自分の理想に合わせた予定がある。予定があれば創作の限界があり、述べたい意図が俳句に表れてしまう。晴子はこの「述べる」という志向が秋桜子や人間探究派を通じて俳句界に蔓延し、俳句が停滞している元凶になったと指摘する。―


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「松の花」(主宰 松尾隆信)№251

   夕凪のひんがしひくく火星あり     松尾隆信

   波乱などなきかに米寿爽やかに     横山節子



「俳句饗宴」(主宰 鈴木八洲彦)№764

   舞殿のその真後ろの穴惑ひ     鈴木八洲彦

   手つかずの和綴じの冊子涼新た   菊地幸子



「鳳」(主宰 浅井陽子)26

   放牧の牛立ち上がる黍嵐        浅井陽子

   風渡るところが空よ滝仰ぐ       森山久代



「大阪俳人クラブ会報」(発行人 茨木和生)№

159

   追悼・鷲谷七菜子先生      瀬山一英


   滝となる前のしづけさ藤映す    鷲谷七菜子

   行き過ぎて胸の地蔵会明りかな

   水のあるところ靄たち近松忌

   ともしびを数へてあとは露の山

   道一つ村を出てゆく端午かな

   寒月のいつのぼりゐし高さかな



「阿夫利嶺」(主宰 山本つぼみ)№260

   秋渇き残生戸惑ふこと少な     山本つぼみ

   雁渡し鼻先ひかる鬼瓦       芝岡友衛



「星雲」(主宰 鳥井保和)第46

   浦祭路地の提灯肩に触る     鳥井保和

   目つぶりて長き睫毛や聖五月   小川望光子


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『潤』茨木和生第14句集(邑書林)

   片付けの後に酒出て地蔵盆     茨木和生

   山人の仰山な荷に山の芋

   蛇穴に入りて日和の続きたる

   雉の声棺の妻に聞かせけり

   妻と来しことのある野に青き踏む



「ハンザキ」(主宰 橋本石火)№39

   山霧や先行く人に追ひつけず     橋本石火

   曼珠沙華電車の椅子の向きを変ふ   中田 凛



「晶」(代表 長嶺千晶)№26

   単線ホーム蠅取草に花ひとつ     長嶺千晶

   亡きあとのこと子に伝へ盆用意    一柳はるみ



「玉梓」(主宰 名村早智子)通巻78

   蝉時雨陰も日向もなかりけり      名村早智子

   目をつむり筧に打たす汗の顔      八嶋昭男


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秋草」(主宰 山口昭男)№107

   にぎはしき人らかたまり秋の水      山口昭男

   台風や抱けば小さき犬となり       野名紅里



「獅林」(主宰 的場秀恭)№974

   電柱の芯まで届く油照          的場秀恭

   水ばかり飲んでおれるか熱中症      金子和子


by masakokusa | 2018-11-02 14:16 | 受贈書誌より | Comments(0)
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