『なんぢや』・四季の椅子〈招待席〉     草深昌子
 

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          一 巻                  草深昌子



   かなかなや一巻にして全句集

   掃苔の四人がかりでありにけり

   突堤に酔ひのまはれる蜻蛉かな



 缶ビールをプシュッと抜いて、グラスに注ぐときのときめきがたまらない。
 この、ときめきという生命の躍動はまた生命場の小爆発らしい。
 小爆発を繰り返して、その都度水位をあげていき、やがて死のクライマックスを迎え、ここで大爆発を起こして死の世界に突入するのだとか。
 我が哀れなるプシュッが、やがてドッカーンと果てるなら、それもまた最高。
 なんて早くも酔いが回ってきた。


(「なんぢや」2016秋34号所収)
*「なんぢや」代表 榎本享 発行所 明石市魚住町
by masakokusa | 2016-09-30 23:59 | 昌子作品抄
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