平成21年5月~昌子週詠 

     5月25日(月)

          切つさきを風に立てたる早苗かな
          船下りて人のにぎはふ木下闇
          風薫る松は寿命をのばしけり
          涼しさは離宮の水のみどりかな
          一擲の波紋を蕗の広葉まで
          年寄は夏たんぽぽに噎せにけり
          金雀枝のこぼるる夕べつめたかり


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     5月18日(月)

          牡丹見の帽子に落つるものや何
          ぼうたんにぴん札の艶ありにけり
          牡丹見て女の髪をくしけづる
          水亭のさびしき八十八夜かな
          かすみとももやとも若葉ぐもりとも
          はつなつや松に鋏をつかふ音
          川柳は青葉俳句は若葉かな


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     5月11日(月)

          橋見えて沖の見えざる日傘(ひからかさ)
          母と子は傘を一つにさくらの実
          茎に葉にさらに葉裏に天道虫
          かくまでも冷ゆる五月や覚えある
          まへに雨うしろに雨や夏衣
          二階から手の出る枇杷の青きこと
          ナマケモノゐるぞと新樹仰がるる


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     5月4日(月)

          人骨は沈み海月は浮きにけり
          薔薇親しチャールストンといふからに
          うたごゑの聖歌と知れる薔薇真つ赤
          何もかも池に散り込む青あらし
          風向きのよろしき干潟遊びかな  
          汐干より帰りしばかり句会かな 
          銀髪を刈上げにけり更衣  
          


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by masakokusa | 2009-05-02 23:12 | 昌子週詠
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