「晨」作品鑑賞・ 大峯あきら
 
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   大晴の報恩講に出くはしぬ        草深昌子

 親鸞聖人の報恩講がおこなわれる時期は、「御講凪」という季語もあるように、ぽかぽかした小春日和の晴天がつづくことが多い。この句の作者は旅の途中で、たまたまそんな報恩講の門徒寺に出合ったのだろう。
 長い伝統のある浄土真宗のこの仏事も、現代社会の風潮に洗われて、昔とは大分様変わりしてきたが、それでも地域によっては、まだまだその宗教的な香りが相続されている。
 この句の「大晴」は、まさにその香りをつかんだ言葉。「出くわしぬ」にも強い力がある。

(平成21年1月発行、「晨」第149号所収)
by masakokusa | 2009-01-05 11:43 | 昌子作品の論評
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