平成21年1月~昌子週詠
     1月26日(月) 

          落ち合うて緋寒桜に歩み寄る
          樹の太く社の古く冴えにけり
          赤ん坊の額に皺寄る四温光
          眉よりも髭濃くありぬ寒日和
          サーフアーのしたたりやまぬ寒九郎
          波に靴濡らさぬやうに日脚伸ぶ
          をみなごも腹減ることよ寒紅梅


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      1月19日(月)

          冴え冴えと見晴らす限り三原山
          黒髪も耳も隠しぬ寒椿
          着ぶくれて溶岩(ラバ)の一つをたなごころ
          白息や溶岩を拾うて溶岩捨てて
          行くほどに溶岩の嵩張る寒波かな
          寒波急溶岩のちぎれんばかりなる
          大寒の溶岩のかぎりを投げ出せる


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     1月12日(月)

          探梅の展望台に上がりけり
          空にして鳶の喧嘩や冬ぬくし
          散ることをおもはぬ冬の桜かな
          しはぶくや今は石なる龍之介
          欄干に脚すべらするゆりかもめ
          不忍池ぞ名に負ふ枯はちす
          橋の名は橋に彫りある春隣


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    1月5日(月)

          あらたまの年の始めのキャッチボール
          太陽と崖のはざまに御慶かな
          笹鳴や崖に懸けたる段梯子
          山路行くほどに寒さのやはらぎぬ
          藁敷いてありし山路や笹子鳴く
          葉は照りて花ひそかなる三日かな
          惚けそめしうれひを笹子鳴きにけり


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by masakokusa | 2009-01-04 19:16 | 昌子週詠
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