カテゴリ:昌子月詠( 10 )
昌子月詠・平成23年3月
 
   墓原に覚えありけり暖かし
   遠富士やどこまで伸びる蝌蚪の紐

   踏青のここに一礼深くしぬ
   永き日の何の風呂敷包みかな

   鳥帰る人の住む島住まぬ島
   亀鳴くと離宮に舟をつけにけり

   書架にして二階の窓や呼子鳥
   遠足の子に手を振ってゐる子かな

   対岸の椅子に色ある残り鴨
   奥つ城のほかは春田でありにけり

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by masakokusa | 2011-03-01 11:13 | 昌子月詠 | Comments(0)
昌子月詠・平成23年2月

   日か月か明るく円く涅槃絵図
   春泥の四足門とはなりにけり

   大琵琶や鳥のかへりをおととひに
   鳥雲に入るや上人上陸地

   芳しき草に掛けあるきつね罠
   龍天に登る見越しの松であり

   犬に手をなぶらせてゐる春浅き
   水のあるかぎりにお玉杓子かな

   蟇交むことのほかみなさむざむと
   うららなる子供のそばに寄りにけり
   



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by masakokusa | 2011-01-31 16:20 | 昌子月詠 | Comments(0)
昌子月詠・平成23年1月
 
   去年に見しものをまた見る今年かな
   瑞泉寺さしゆく御慶申しけり

   青空に少しく近し初詣
   うれしさはひつくりかへる歌留多かな

   セーターの柄の井桁のめでたけれ
   天神は絵馬ひっさげて寒に入る

   裸木に金太郎飴あがなへる
   焼きそばの鏝よくかへる四温かな

   日脚伸ぶ路地の細きがうれしくて
   寒梅の出会ひがしらでありにけり


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by masakokusa | 2010-12-28 00:19 | 昌子月詠 | Comments(0)
昌子月詠・師走
 
   朝まだき落葉の道に入りけり
   名園の色美しき寒さかな

   木の葉髪赤いリボンのつけどころ
   喧しき烏に園の枯れゆくか

   着ぶくれて口動かしてゐたりけり
   ことのほか岸のほとりは日短

   いつまでも沖を見てをり頬被
   大雨の宿りを室の花のもと

   冬泉洗濯板の置かれあり
   忘年の泉のこゑとなりゐたり


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by masakokusa | 2010-11-29 13:24 | 昌子月詠 | Comments(0)
昌子月詠・霜月

   舞姫の間なる襖を立てにけり
   少々の酒を夜食といふべかり

   立冬や石に置きたる陶の椅子
   神送る極楽鳥花咲き出でて

   立って食ふ飯のうまさや蓮の実
   破蓮ほどにも酔うてきたりけり

   紅葉して幹は割れたり捩れたり
   怒り岩翁岩とぞ照紅葉

   柞かな翅のかぎりに虫飛んで
   はればれと山ある障子開きけり


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by masakokusa | 2010-10-28 17:49 | 昌子月詠 | Comments(0)
昌子月詠・神無月

   船降りて来たる足音秋彼岸
   人の手のどの榠樝にも及ばざる

   村人と朝寒の声かはしけり
   今をりし人ゐぬ水草紅葉かな

   鶺鴒の飛んで子供のころびたる
   寺に猫肥る障子を入れにけり

   堅田晴れ報恩講のお触れある
   道に曳く子供のおもちゃ菊日和

   残菊や少しはにかむ堅田の子
   初鴨の堅田にこゑをあげにけり

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by masakokusa | 2010-09-21 21:56 | 昌子月詠 | Comments(0)
昌子月詠・長月

   水澄んで流るる鯉となりにけり
   柴橋といふは鉄橋秋の風

   秋水の音が屋敷の中にくる
   酒蔵は秋の声する向かう岸

   柿食うてもの書くさまのすばやかり
   子規の忌の外交官の家にゐる

   蝉の鳴きしぼりし萩のこぼれかな
   どこそこの蚊となく喰はれ獺祭忌

   竜淵に潜める衣は被きけり
   船降りて来たる足音秋彼岸


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by masakokusa | 2010-08-30 13:14 | 昌子月詠 | Comments(0)
昌子月詠・葉月

   九十九折(つづらおり)来たりし星の契かな
   星合の蓬莱苑の深きまで

   夏帽子エクアドルから帰りきし
   藻の花やこの世は門に仕切られて

   大学に道深くある木槿かな
   蝉の死を一葉に掬ひあげにけり

   赤門に秋の日傘の巻かれたり
   遠泳の千本松のどこまでも

   亡き友の分まで泳ぎゐたりけり
   これからもこれまでもさるすべりかな


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by masakokusa | 2010-08-01 18:21 | 昌子月詠 | Comments(0)
昌子月詠・文月

   半夏生金平糖の噛みごたへ
   サーフアーの背中脱ぎたるユッカかな

   涼しさの金魚泳げるやうな花
   赤煉瓦倉庫てふ夏館かな

   乳母車涼し二人子二人乗り
   居るほどに夏の灯しの濃くなりぬ

   水亭はここなる草を刈りにけり
   人力車こゑして過ぎぬ立葵

   涅槃図に襖外してありにけり
   をさな子のまつくらといふ木下闇


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by masakokusa | 2010-06-24 19:44 | 昌子月詠 | Comments(0)
昌子月詠・ 水無月


   ほうたるにみじかく深く睡りけり
   明るさも暗さもすこし花あふち

   水上へ水上へ水すましかな
   にはとりのこゑのなかなかさみだるる

   城跡といふは山頂かしは餅
   しだれ梅若葉の雨の雫かな

   雨止んで夕日真つ赤やほととぎす
   亀の子やおぼるるさまに泳ぎける

   茶畑に開く扇子のまつしろな
   歯車の音の涼しく噛み合へる


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by masakokusa | 2010-06-11 12:13 | 昌子月詠 | Comments(0)