カテゴリ:昌子週詠( 22 )
平成22年6月~昌子週詠 
  
  
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  6月28日(月)

          蝙蝠にディズニーランド遠からず
          名勝や傘(からかさ)の色薔薇の色
          夏館ものの盛りは過ぎにけり
          下屋敷あとを連れ立つ薄暑かな
          新緑や外人多く寺多く
          ハイヒール涼しくゆきし麻布かな
          父の日のここは麻布の木蔭なる


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    6月21日(月)

          苔のなき石の頭や泉鳴る
          すっぽりと夏の落葉に嵌る虫
          住吉は丹の色勝ちし田植かな
          田蛙の鳴けば座敷の人笑ふ
          かつかつと芝掻きにけり夏の雨
          形代に背丈等しくうちかさね
          勉強が好きでたまらぬアッパッパ


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   6月14日(月)

          大晴の堰やはたして行々子
          葭切に論ずることのきりもなや
          大いなる水の堰かるる裸かな
          これやこの弥の助の墓花楓
          古風鈴青梅(おうめ)の奥に鳴りにけり
          葉桜に行きつ戻りつかつ行きぬ
          業平忌雑巾がけをしてゐたり
 

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     6月7日(月)

          ほととぎす厠に窓が高く開き
          紙切れのちらかる蜻蛉生れにけり
          ぬれぬれと畦ありにけり日からかさ
          明日植えん田水を鴨の廻しけり
          水番にこよなき鳥の音色かな
          肌脱や石に入りたる苔の色
          風鈴の鳴って山々深からず


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by masakokusa | 2010-06-06 20:55 | 昌子週詠 | Comments(0)
平成22年5月~昌子週詠 

     5月31日(月)

          葉桜や腕に肩に背に荷物
          竹の葉の散りつつ色を失へる
          後光とも言はん光りを今年竹
          井戸に蓋かむせて竹の落葉かな
          雑巾を裏に表に黴拭ふ
          おはぐろの飛んで軒端にゆるるもの
          薫風の畳に交す二た三言


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     5月24日(月)

          更衣して川端をゆき広場ゆき
          うつすらと飾り兜の口開きぬ
          茄子苗を買はん端午の日なりけり
          鎌つかふ梯子をつかふ薬の日
          足取りの夏野となってきたりけり
          きつとして滝にそびらを返したる
          繭を掻く男の指のなまめきぬ


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     5月17日(月)

          神宮の若葉雨なら濡れて行こ
          梅の実の籠は少女の帽子かな
          捨て釜のまつくろこげや夏蓬
          やつちや場のすみずみ卯月曇かな
          海峡の茅花流しとなりにけり
          東経百三十五度ぞ薄暑光
          南風や明石に食うて明石焼


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     5月10日(月)

          顔に来て五月の風は水のやう
          少年の押して端午の乳母車
          山藤に雲うつさうとしてきたる
          丹田のつめたくありし白牡丹
          水掬ふやうに牡丹に指入れぬ
          ぼうたんに指濡らすとはおもはざり
          母の日の消防団員集ひける


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      5月3日(月)

          草笛の得意のうしろすがたかな
          幣白く神主白く藤白く
          花過ぎの箒の音を立てにけり
          目借時机にもののあふれをる
          水の底水の面や花惜しむ
          町を来て田舎の道の薄暑かな
          かるがもは小舟の名なり子供の日


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by masakokusa | 2010-05-02 23:36 | 昌子週詠 | Comments(0)
平成22年4月~昌子週詠 

     4月26日(月)

          風船の割れんばかりに光りけり
          さくらしべ降るや艪臍のあからさま
          花は葉に舟の揺れたるやうに揺れ
          船頭のしはがれごゑの春惜しむ
          木の舟に木の櫓をつかふ暮春かな
          檻に見て鸚哥の恋の熱きこと
          赤ん坊と八十八夜の舟にゐる


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 4月19日(月)

          奥つ城のほかは春田でありにけり
          水塚(みづか)とは芽立ちの大いなるところ
          蟻塚に落花一片立ちてあり
          芳しき草に蟻塚十あまり
          どの橋も短く細く長閑なり
          くるぶしをかへして土筆摘みにけり
          棕櫚竹に来ては風鳴る遅日かな


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     4月12日(月)

          蝶々の飛んでその辺緑なる
          水のあるかぎりにお玉杓子かな
          かすかにも魚の匂ひの蝌蚪の水
          子規思ふたびに草餅さくら餅
          片栗に立って男の後ろ向き
          片栗に一書開かんこころかな
          赤に濃くみどりにうすく芽ぐむもの


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     4月5日(月)
   
          波際にほどなき若布干し場かな
          和布刈舟かへりきたれば子の跳ねて
          和布干すつひぞ子どもにかまはざる
          髪長く肩に乗りたる春の潮
          浜砂を掬へる指のうららかな
          書架にして二階の窓や呼子鳥
          夕きぎす鋏をつかふやうに鳴き


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by masakokusa | 2010-04-05 00:06 | 昌子週詠 | Comments(0)
平成22年3月~昌子週詠

     3月29日(月)
 
          鳥帰る人の住む島住まぬ島
          菜の花の丈の高さも伊良湖かな
          春潮やいづれ伊勢湾三河湾
          三角の島は神島鳥の恋
          人々の艫に片寄る霞かな
          栄螺食う十一人のこゑあげて
          檻に見て鳥うつくしき彼岸かな


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     3月22日(月)
     
          春泥にひらくと赤い鳥の羽根
          鳥帰る岸を眺めとしてゐたり
          雪を来て春の灯しのくらきこと
          犬に手をなぶらせてゐる春浅き
          青鷺の寸も動かぬ余寒かな
          果樹植ゑて鴉せはしくなりにけり
          デパートの窓に見てゐる春うれひ


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     3月15日(月)

          対岸の椅子に色ある残り鴨
          樹の瘤の太りやまざる鳥雲に
          小魚は小竿に釣りぬ春の雨
          春雨にただ立ってゐるポプラかな
          蓮如忌や島の階段数へきれず
          蓮如忌や島の裏よりかへり舟
          芳草のひと筋ありぬ道となく


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     3月8日(月)

          蟻穴を出づる如雨露の水の音
          啓蟄の木に攀じ上りゐたるかな
          赤松に傾ぐ赤松寒戻り
          料峭の女の蒸籠洗ひをり
          さっきよりすこしゐざりし蝌蚪の紐
          水温む白鳳仏を祀りたる
          噴水の濃やかなりし春の風邪


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     3月1日(月)

          観梅や川白波の見ゆるまで
          しつらへてありし小径も梅日和
          白壁の汚れを芽吹く欅かな
          あたたかや水にあたりし水の音
          梢下りて雀の子とは知られけり
          餌に来てあさましからぬ雀の子
          遠足の子に手を振ってゐる子かな


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by masakokusa | 2010-03-01 00:07 | 昌子週詠 | Comments(0)
平成22年2月~昌子週詠 

     2月22日(月)

          探鳥としもなく潮干潟にあり
          椋鳥にうちまじりては青き踏む
          春陰の尾長のこゑをあげにけり
          うにやうにやとしたるあたりが蟇の恋
          蟇交むことのほかみなさむざむと
          如月の松にはげしき潮傷み
          帰るさも渚づたひの余寒かな


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     2月15日(月)

          日脚伸ぶ急須の口でありにけり
          大山のすそ野もすそ野犬ふぐり
          冴返る不老の水といふがあり
          花びらに蘂の勝たる梅の花
          梅見とは熱くなるまで日に当たる
          料峭の鶫のうしろ見せにけり
          隠沼へ末黒の芒越えゆかん


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     2月8日(月)
      
          悴んでどこやら鴨に似たるかな
          襟巻のそよぎも若くありにけり
          あをあをと魚氷に上る山河かな
          孝太郎丸は小さし冴返る
          砂浜の砂の重たき荒布かな
          めいめいにあたたかと言ふ実朝忌
          君が背の遠くなりゆく梅白し


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     2月1日(月)

          探梅や一と世今こそ元気なれ
          探梅の波打際のありにけり
          博古堂陽古堂とや春隣 
          待春の茣蓙に座ってゐたるかな
          まばたきをもってこたふる梅の花
          おとがひの少し細りし寒牡丹
          寒牡丹夫婦のやうにゐたりけり


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by masakokusa | 2010-01-31 23:45 | 昌子週詠 | Comments(0)
平成22年1月~昌子週詠 

     1月25日(月)
          
          うれしさはひつくりかへる歌留多かな
          瑞泉寺さしゆく御慶申しけり
          コート着て身の細りたる若さかな
          むき出しに蓮の骨はありにけり
          冴え冴えと虚子は立子をかなしみぬ
          裸木の落しもあらぬ古巣かな
          鎌倉に春のちかづく久女の忌


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     1月18日(月)

          天神は絵馬ひつさげて寒に入る
          不忍池の日向の頭巾かな
          裸木に金太郎飴あがなへる
          焼きそばの鏝よくかへる四温かな
          冬ぬくし湯島は風のありながら
          絨毯を踏んで冬青草踏んで
          冬麗におもへば岩崎久弥かな


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     1月11日(月)

          歌留多読む母の大きな節回し
          水甕にぴくぴくしたる冬日かな
          裏戸出てすぐの汀や冬の雷
          枯葎漁網の嵩となりにけり
          牡蠣打ちの手とも牡蠣とも分たざる
          一鳥の小走り日向ぼこりかな
          寒紅を松のみどりにひきにけり


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    1月4日(月)

          翡翠の瑠璃におどろく初山河
          青空に少しく近し初詣
          二日はや三々五々を楽しみて
          朝日子の頬にきらめく二日かな
          霜柱踏んで足取り軽くして
          去年に見しものをまた見る今年かな
          セーターの柄の井桁のめでたけれ


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by masakokusa | 2010-01-03 22:58 | 昌子週詠
平成21年12月~昌子週詠 

     12月28日(月)

          煤掃いて餅もご飯もパンも食ふ
          傘開く音に冬菜を割きにけり
          猫のうらがへりし日向ぼこりかな
          木の家に鉄の扉や冬木の芽
          女郎蜘蛛冬青空を攀ぢりたる
          花か葉かくしやくしやにして冬日かな
          木の洞のあからさまなり初氷


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     12月21日(月)

          死ぬることいふては生くる龍の玉
          冷え冷えとあれば渡しのあとといふ
          冬桜萼にさみどりさやかなり
          いと小さくいとたしかなり冬桜
          年暮るる池の囲ひを青竹に
          しろじろと髪の吹かるるショールかな
          冬紅葉酒のまはらぬ日なりけり


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    12月14日(月)

          十二月八日の草の青きこと
          風神の爪を伸ばせる冬日かな
          干し魚の光りくぐるや冬の蠅
          冬凪や漁師はじっとしてをれぬ
          かんばせに貼りつく冬日濃かりけり
          釣竿を富士へはふりし小春かな
          忘年やしらす丼しらす酒


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      12月7日(月)

          芥とも枯葎とも河口かな
          着ぶくれて口動かしてゐたりけり
          寒泉や子供の丈の稚児大師
          気心の知れたる鴨の群れにけり
          涸るる水べったりとして葉つぱかな
          ことのほか岸のほとりは日の詰まる
          つまさきに落葉かかとに落葉かな


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by masakokusa | 2009-12-05 21:39 | 昌子週詠 | Comments(0)
平成21年11月~昌子週詠 

     11月29日(月)

          大雨の宿りを室の花のもと
          葉は赤く花は瑠璃なり室の花
          室に咲く花にともしび明くしぬ
          壁なくて柱ありける柞かな
          深大寺そばがどこにも雨冷た
          石燈籠よりも濡るるは花八ツ手
          喧しき鴉に園の枯れゆくか
  

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  11月23日(月)

          開け閉ての電車ごつこの障子かな
          あかあかと十一月の実のこぼれ
          焚火してあたる人なき漁港かな
          親指のおろそかならぬ蜜柑剥く
          年嵩の女の暖房嫌ひかな
          冬麗や犬の引きゆく人の顔
          枯野行くわれに背中のありにけり


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     11月16日(月)
  
          立冬をきのふにしたる銀座かな
          日の丸の小旗通りも小六月
          歌舞伎座や十一月の水打つて
          寒菊のここなる銀座発祥地
          室咲きの茶房に段差ありにけり
          かのセーター赤し歩行者天国
          七五三帰りのみゆき通りかな


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     11月9日(月)

          宮ケ瀬の瓜田家の天高きこと
          木の家に吸うて木の香や秋深し
          一木に一輪小春日和かな
          木の葉髪赤いリボンのつけどころ
          まただるまさんがころんだ花野かな
          秋逝くや吊橋高く細長く
          人々の総じて黒き冬に入る


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     11月2日(月)

          母逝きて秋の蝶々ふえにけり
          思ふたび母生きてゐる野紺菊
          まなじりにひきゆく日差し旗薄
          かなしさはきちきちの糞しぼりたる
          鳥渡る木々のてつぺん細りけり
          五位鷺の流し目釣瓶落しかな
          秋深む小鍋を買うてきたりけり
   
       

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by masakokusa | 2009-11-01 22:00 | 昌子週詠 | Comments(0)
平成21年10月~昌子週詠 

     10月26日(月)

          無花果にそむきまむきの日差しかな
          菜虫とる庄野潤三かもしれぬ
          小鳥来る嶋田薬鋪の屋根瓦
          遠足の子のとんとんと秋館
          見とほしのききたる桐の一葉かな
          雨の粒落ちて花野を明るうす
          反古ふゆるばかりの夜鍋してゐたり


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    10月19日(月)

          さやけしや吉祥草といふに触れ
          色変へぬ松のブロンズ光かな
          女教師のこゑのひときは雁渡し
          むさしのの子どものお辞儀木の実落つ
          立って食ふ飯のうまさや蓮の実
          さびしさにしやがめば来たる赤蜻蛉
          破れ蓮ほどにも酔うてきたりけり


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     10月12日(月)

          白鷺の白の全き水の秋
          長堤をひたゆく秋の遊びかな
          謂れある石に狐の剃刀を
          寄る穂波返す穂波や秋渇き
          広々とあれば鷺ゆく真葛かな
          長堤のしづかなること秋の雨
          とほせんばうせねばならぬが案山子なる


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     10月5日(月)

          鎌倉市小町通りや酔芙蓉
          ゆきずりの女のこゑの露けしや
          首に紐捲いて飾りや秋の海
          フエニックスこの末枯の潮傷み
          冷じや大魚の骨を岩の上
          自転車の籠に子が載る穂絮かな  
          その音の今し落ちたる木の実かな


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by masakokusa | 2009-10-04 18:58 | 昌子週詠 | Comments(0)
平成21年9月~昌子週詠

     9月28日(月)

          秋深きところ薬用植物園
          蛇瓜のへびとなるまで秋日濃き
          スカートの地べたに触るる木の実かな
          鳥渡る土俵になにやかや被せ
          井戸水を汲んで眼の澄みにけり
          煮しめたるものの匂ひの秋日かな
          ロッキングチェアーに見たる草の花    


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     9月21日(月)

          カステラの喉越し子規の忌なりけり
          どこそこの蚊となく喰はれ獺祭忌
          葛の花へりくだるなくゐばるなく
          鶏頭に君おもはざることはなき
          くらがりに光る畳や萩の風
          小鳥来る堰の大きく曲がりけり
          難所とふしきりに水の澄むところ


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    9月14日(月)
      
          水澄みて七面鳥は鳴きにけり
          佐渡のどの軒も錆びたり野紺菊
          石ころも貝も木つ端も澄みにけり
          色変へぬ松を戸毎に祭かな
          人の手に触れてつめたき秋の空
          打首のやうなるこれも案山子かな
          豊の秋鴨居に頭あたりけり

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     9月7日(月)

          お砂場の外も砂地や秋の風
          蜘蛛の尾か頭かいづれ澄みにけり
          木は朽ちて鉄は錆びたる薄かな
          秋の蟻手のおもてから手のうらへ
          おもふこと口に出てゐる秋の風
          二人して破れ蓮に濡れにけり
          てのひらにこぼれていのこづち稚き


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by masakokusa | 2009-09-06 22:33 | 昌子週詠 | Comments(0)