『俳句研究』・招待席                  草深昌子
   鎌倉

         
  寒晴や鼈甲飴は立てて売る

  日当たれる廊下づたひの氷かな

  舞殿にふぐりおとしは上りけり

  焼べたしてふぐり落しの破魔矢かな

  また夫とぶつかる豆を撒きにけり

  春愁の達磨おとしを落したる

  春潮や貝殻微塵砂微塵

  黒猫は白猫よりも恋をする

             
        
『俳句研究』・招待席                     草深昌子_f0118324_21543447.jpg


 (2007年5月1日富士見書房発行「俳句研究」第74巻第6号・2007年5月号 p185所収)

     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


『俳句』・現代女流作品特集

      開眼の一句

 狂ふかもしれぬ手を挙げ踊るなり


 
      

  身より鬱剥がれてゆくや今年竹

  応援歌泰山木を咲かせけり

  ほたる来よわが白妙の胸乳まで

  あら粒の雨の中より初蛍

  何待つとなく生きて蛍の闇にあり

  鉈彫りの柱かげなる蛍籠

  あしをどりのおかめはぢらふ夜の短か

  幹といふたのもしきもの七月来


『俳句研究』・招待席                     草深昌子_f0118324_20595436.jpg

 (「俳句」平成5年9月号・ 現代女流俳人作品大特集p106所収)
by masakokusa | 2007-04-27 16:34 | 昌子作品抄
<< 櫂 未知子著 『言葉の歳時記』 『はるもにあ』 客人居・まらう... >>