鎌倉
寒晴や鼈甲飴は立てて売る
日当たれる廊下づたひの氷かな
舞殿にふぐりおとしは上りけり
焼べたしてふぐり落しの破魔矢かな
また夫とぶつかる豆を撒きにけり
春愁の達磨おとしを落したる
春潮や貝殻微塵砂微塵
黒猫は白猫よりも恋をする
(2007年5月1日富士見書房発行「俳句研究」第74巻第6号・2007年5月号 p185所収)
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『俳句』・現代女流作品特集
開眼の一句
狂ふかもしれぬ手を挙げ踊るなり
幹
身より鬱剥がれてゆくや今年竹
応援歌泰山木を咲かせけり
ほたる来よわが白妙の胸乳まで
あら粒の雨の中より初蛍
何待つとなく生きて蛍の闇にあり
鉈彫りの柱かげなる蛍籠
あしをどりのおかめはぢらふ夜の短か
幹といふたのもしきもの七月来
(「俳句」平成5年9月号・ 現代女流俳人作品大特集p106所収)