2月28日(水) 煎餅屋蕎麦屋魚屋冴返る
2月27日(火) 路地抜けて路地につまるや梅日和
2月26日(月) 芽ぐむとも蕾むともなくみどり色
2月25日(日) 料峭のあけぼの杉の林かな
2月24日(土) 海原の今は通りの鳥の恋
2月23日(金) 川幅に舟の幅行く鳥雲に
2月22日(木) 駄菓子屋の瓶の口開く春燈下
2月21日(水) 棒切れをもつて幹打つ余寒かな
2月20日(火) 酒蔵の匂ひしてゐる竹の秋
2月19日(月) 松林に日のあまねかり南国忌
2月18日(日) 白雲の行き行く春の酒匂川(さかわがは)
2月17日(土) 春めける風のひと渦巻きにけり
2月16日(金) 山高く川細くあり涅槃西風
2月15日(木) 総会の拍手いくたび梅ひらく
2月14日(水) みづうみのどこもさざなみ冴返る
2月13日(火) 乳牛の眼と会ふ春の寒さかな
2月12日(月) 石に乗り岩に廻りて水温む
2月11日(日) 下萌に寝かせて長き熊手かな
2月10日(土) 降り出して小糠雨とも春の雪
2月9日(金) 蕗味噌にたてがみ遠く見てゐたり
2月8日(木) 仰ぎ見て鳶美しき雪間かな
2月7日(水) 二人子を遊ばせてゐる芹の水
2月6日(火) 御僧にさしかく春の時雨傘
2月5日(月) 立春の居間は二階でありにけり
2月4日(日) 豆撒のさすが左腕の投手かな
2月3日(土) 蕭条のきはみの豆を囃しけり
2月2日(金) 往き来して雪の廊下やただ一人
2月1日(木) 額(ぬか)に指あててそのまま雪の夜