受贈書誌より感銘句(平成30年2月)                  草深昌子

貴重な御書誌をご恵贈賜り有難うございました。


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「星雲」201831

   冬晴や天へ放水檻の象     鳥井保和

   生きてゐる今が幸せ福寿草   竹内正與



「秋草」20183月号

   枝折つて年のはじめの音とする     山口昭男

   襖絵は青海原や初時雨         横内正人



「玉梓」平成30年3・4月号

   狐面つけて年越詣の子        名村早智子

   風少し容れてマフラー巻きなほす   横井澄子



「獅林」20183月号№966

   一病に弄ばれて春寒し      的場秀恭

   初夢の乗換駅にひとり佇つ    あめ・みちを


「雲取」№246 20183月号

   白猫を丸く描きし初暦         鈴木太郎

   返り花紅し五葉の松の下        下條杜志子

   国を出ずこの地球(ほし)を出ず初笑  鈴木多江子


「八千草」季刊俳句誌 平成30年如月

   昨日より尖る阿夫利嶺人恋し      山元志津香

   数式のするする解けそう夜の秋     横山博行


「都市」都市10周年記念号 平成302

   一振りの太刀を受け取り舞始め   中西夕紀

   幼くて肩そびやかす寒烏      中西夕紀

   風花や旧街道は石敷かれ      中西夕紀

   馬鈴薯の花や下校の子は歌ひ    三森 梢

   小春日や分岐点ある切通      岩原真咲


「詩あきんど」HAIKAI其角研究 第30号 平成302月号

   何もなく夫婦なりけりお元日     二上貴夫

   爾今なしと思へばけふの秋の富士   竹村半掃



句集『かはほり』橋本石火 文學の森 平成25年4月


    伸びるだけ伸びて糸瓜の曲りをり

    帰省子のすぐゐなくなる畳かな

    尼寺に遊ぶ子のゐて梅もどき

    学業をおろそかにして着ぶくれて

    かはほりのゆふべあやしきわらべ唄


句集『蛍川』加山紀夫  角川書店 平成30年1月刊行


   走る子の桜の中に浮いてをり

   松手入海に日陰のなかりけり

   蛍川昼は山鳩鳴いてをり

   電線に雪の積もれり裕明忌

   縄掛けて荒ぶる神へ新豆腐




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「松の花」平成302月号

   枯芝をまつすぐに来る傘ひとつ    松尾隆信

   大潮に遠のく烏帽子冬隣       横山節子


「里」二千十八年2月号№179

   夕日にはまだ白けれど冬の暮   島田牙城

   元日の暮るるを言へり齢人    中村与謝男

   

「阿夫利嶺」平成302月号№251

   黒檀に置く冬の壺誕生日      山本つぼみ

   風花や誰を待つともなく昏れぬ   小沢真弓


「俳句饗宴」2018・2(第756号)

   竹伐つて竹割つて扨て年用意   鈴木八洲彦

   やあと友寄り来手袋脱ぎながら  末永隆雄


『岸本尚毅集』自註現代俳句シリーズ・1227 


   金網に吹きつけらるる野菊かな  句集『鶏頭』

   手をつけて海のつめたき桜かな  句集『舜』


   淋しさはわが子と遊ぶ春の暮   句集『健啖』

   健啖のせつなき子規の忌なりけり  〃

   また一つ風の中より除夜の鐘    〃


   雨だれの向うは雨や蟻地獄    句集『感謝』

   ゆるやかに光陰夏を離れけり     〃

   ある年の子規忌の雨に虚子の立つ   〃

   さういへば吉良の茶会の日なりけり  〃


   眼のまはり鱗大きく穴惑     句集『小』

   蟻楽し蟻の頭を蟻が踏み       〃

   熱燗の愛嬌はあり風情なく      〃

      愛嬌はあるが風情はない。風情はないが愛嬌はある。

      そんな店。そんな人。そんなひととき。 


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『武藤紀子』シリーズ自句自解Ⅱベスト100


   山かけて赤松つづく円座かな   句集『円座』

   住吉の松の下こそ涼しけれ    句集『朱夏』

   完璧な椿生きてゐてよかつた   句集『百千鳥』

   富士山の雪の色して志      句集『冬干潟』

   梛の葉に来てしばらくを冬の蠅     〃

   たましひをしづかに濡らす緑雨かな   〃

   またも来むあふちの花の咲く頃に    〃

      第四句集『冬干潟』の最後に置いた句。この句集ではさまざまな俳句の作り方に挑戦してきたが、

      やはり私は吟行で写生して句を作るんだなあとしみじみ思った句。



「晶」季刊俳句同人誌№2
   枯野原単線列車眠くなり               長嶺千晶
   きちきちを隠せる草のやはらかき     嶋澤眞理


「朴の花」第102

   これよりは鳥獣保護区鳥兜      長島衣伊子

   地下鉄に乗り込んでくる大熊手    矢島康吉


「秋草」20182月号

   昼どきの土間のしめりや石蕗の花     山口昭男

   削られしモツアレラチーズ冬の鳥     常原 拓


「らん」№80 らん創刊80号記念

   『らん』は「蘭」「乱」「嵐」なり楽しまん     鳴戸奈菜

   立ち話をんなはマスク外さずに           嵯峨根鈴子


「獅林」20182月号№965

   路ゆづり合うて躓く花野かな     的場秀恭

   お後がよろしいやうです二月尽    岩佐世紀子


「雲取」20182月号№245

   ともづなを曳けよ掲げよ初山河       鈴木太郎

   万灯の湧いて上つて本門寺         下條杜志子


by masakokusa | 2018-03-03 23:33 | 受贈書誌より
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