課題詠   兼題=夕顔・蝉      草深昌子選
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 特選 

  蝉の木の絵本にありしごとくあり     山内利男
 
   
誰にも思い当たる光景が、懐かしくも美しい。
   一句の余白には蝉の声が童心そのものに響き渡っている。


  夕顔の空ひとひらと覚えけり       池原富子
   
   夕顔の色はすっかり空に溶け込んでいるのであろう。
   ひそやかな空気感が思われる。「ひとひら」が愛惜。


  夕顔のかたはらの子に名をききし     涼野海音
 
   日常の一端のようではあるが、ふと源氏物語の「夕顔」の情動がかぶさってくる。
   そこはかゆかしい。 

   秀逸 

  夕顔にしんかんとある二階かな      山内利男
  夕顔のほのと明るき帰宅かな       東條和子
  朝八時日は熊蝉を囃しをり         和田哲子
  水遣れば夕顔ぬつと咲いてをり     久下萬眞郎
  夕顔や祖母は母より長く生き       杉本和夫

   入選 

  夜も伸ぶる夕顔の蔓月に雲       二宮英子   
  蝉の鳴く赤松多き寺領かな       大槻一郎
   
   他70句略

(平成29年7月号「晨」所収)
by masakokusa | 2017-07-31 11:09 | 俳論・鑑賞(2)NEW! | Comments(0)
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