平成22年5月~昌子週詠 

     5月31日(月)

          葉桜や腕に肩に背に荷物
          竹の葉の散りつつ色を失へる
          後光とも言はん光りを今年竹
          井戸に蓋かむせて竹の落葉かな
          雑巾を裏に表に黴拭ふ
          おはぐろの飛んで軒端にゆるるもの
          薫風の畳に交す二た三言


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     5月24日(月)

          更衣して川端をゆき広場ゆき
          うつすらと飾り兜の口開きぬ
          茄子苗を買はん端午の日なりけり
          鎌つかふ梯子をつかふ薬の日
          足取りの夏野となってきたりけり
          きつとして滝にそびらを返したる
          繭を掻く男の指のなまめきぬ


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     5月17日(月)

          神宮の若葉雨なら濡れて行こ
          梅の実の籠は少女の帽子かな
          捨て釜のまつくろこげや夏蓬
          やつちや場のすみずみ卯月曇かな
          海峡の茅花流しとなりにけり
          東経百三十五度ぞ薄暑光
          南風や明石に食うて明石焼


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     5月10日(月)

          顔に来て五月の風は水のやう
          少年の押して端午の乳母車
          山藤に雲うつさうとしてきたる
          丹田のつめたくありし白牡丹
          水掬ふやうに牡丹に指入れぬ
          ぼうたんに指濡らすとはおもはざり
          母の日の消防団員集ひける


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      5月3日(月)

          草笛の得意のうしろすがたかな
          幣白く神主白く藤白く
          花過ぎの箒の音を立てにけり
          目借時机にもののあふれをる
          水の底水の面や花惜しむ
          町を来て田舎の道の薄暑かな
          かるがもは小舟の名なり子供の日


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by masakokusa | 2010-05-02 23:36 | 昌子週詠
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