平成21年3月~昌子週詠 
     3月30日(月)
          点心の湯気の熱々彼岸明け 
          もの食うて書いて机や暖かし 
          猫の眼のみどりは恋の終はりたる
          しろじろと散り込むものや春の泥
          鳥雲にお伝ひ橋といふがあり
          踏青のここに一礼深くしぬ
          栄螺焼く刷毛のしづくのうまさうな



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    3月23日(月)
          春分や巫女の緋袴白袴
          初桜ここら平次の銭飛んで
          鳥雲に巫女のお辞儀をいつまでも
          甘酒に舌焼く春の雨あがる
          鳥ぐもり絵馬の地べたに触るるまで
          湯島より根津に濃くなる春日かな   
          お彼岸の傘や日にさし雨にさし


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     3月16日(月)
          亀鳴くと離宮に舟をつけにけり
          凧揚げの上手な母のほつそりと
          焜炉から立ちし煙や山霞
          坐らねば春座布団のもりあがる
          恋猫の小走り吉屋信子邸
          米櫃も風呂もからつぽ囀れる
          初蝶に薹の二尺が立ちにけり
 


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     3月9日(月)
          えんぴつを雛の前に削りをり
          三月の口を大きく開けて泣く
          雛段のうらのからつぽおもはるる
          春遅々と蓬莱島は松の島
          風の音立ちて風来ぬ椿かな
          囀や一とあきなひの一と筵
          教室の窓と巣箱の窓と合ふ


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     3月2日(月)
          人体に似たる若布を干しにけり
          浜砂のここは凹まぬ春の風
          若布干す一人一人となってをり
          若布干すうしろにしたる光明寺
          この通り酒屋の多き春日かな
          マフラーも服も真つ黒風光る
          たんぽぽのほとり赤子のほとりかな


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by masakokusa | 2009-02-28 22:30 | 昌子週詠
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